屋敷林は小さな宇宙
一面に広がる水田の真ん中に、屋敷林があります。
門柱としての大役を担ってきたその木々は、
その家に様々な恩恵をもたらしてきてくれました。
ミョウガのように舌で味わうことのできる贈り物もあれば、
ゲンジボタルのように目で楽しませてくれる贈り物。
すべては屋敷林の周りに集まってくるのです。
森林総合研究所の大平さんは、屋敷林の効果について
目をつけるようになりました。
その物質は、αピネン
嗅ぐと血圧が下がるリラックス効果があり、
屋敷林にはαピネンが多く存在していることが分かってきました。
ところが、そんな屋敷林に大きな危機が迫っています。
ひとつは、近年多発している熱波や巨大台風による林の倒木。
さらに、ウラジロカシや御神木の樹木が次々と枯れ始めているのです。
枯れている木々を見ると、その幹に開いた小さな穴が開いています。
それは、シノナガキクイムシの仕業です。
成虫はカビ菌をナラ菌を運びこみ、1年で10倍、3年で1000倍という
猛烈なスピードで増加する虫でたちまち木々を枯らしてしまうのです。
木があるおかげで、人々の生活は成り立っているのです。
どこまで持ちこたえられるか分からないけど、その林の下で何百年も
受け継がれてきた家族の営みを守ってくれている屋敷林を
少しでも長く守っていくことが今できるすべてなのです。
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