あいまいなものをきちんと数値化するとどうなる?
日本には「あいまいさ」を美徳として考える文化があり、あえて具体的な数値を言わないことによって、相手にニュアンスとして伝わったり無礼に当たらないようにうまく表現しています。しかし、よく考えてみると自分が考えている程度と話している相手が感じる程度は本当に一致しているのでしょうか。「もう自分もオジサンだし」や「大特価」というとき、聞いた人が考える年齢や割引は微妙に違うことでしょう。
そんな疑問が発端なのかは定かではありませんが、このあいまいさをあえてきちんと数値化してみるという、まるでタブーに触れるかのようなドキドキ感がある調査を行なったところがあります。それが博報堂生活総合研究所というところで、「生活者発想塾」という書籍にそれが書かれているといいます。
まずは、以下の漠然とした言葉について心の中でどのくらいの数字になるかを考えてみて下さい。
◆質問
Q.「オジサン」って何歳から?
Q.「近所」って自宅から何メートル範囲?
Q.「一瞬」って何秒?
Q.「ちょっと一杯」って何分以内?
Q.「猛暑」って何℃以上?
Q.「大特価」って何割引き?
Q.「過去のこと」って何年前?
Q.「多数派」って何%以上?
Q.「新婚」って結婚してから何年間?
Q.「太った」って一か月でプラス何キロ?
Q.「小銭」って何円くらい?
いかがでしたでしょうか。もちろんこれらの質問に対する明確な答えというものはありません。このアンケート調査に関する平均値は以下の通りの結果となったそうです。
◆アンケート結果
Q.「オジサン」って【43.2】歳から
Q.「近所」って自宅から【472】メートル範囲
Q.「一瞬」って【2.4】秒
Q.「ちょっと一杯」って【48.3】分以内
Q.「猛暑」って【33.0】℃以上
Q.「大特価」って【5.1】割引き
Q.「過去のこと」って【5.5】年前
Q.「多数派」って【66.5】%以上
Q.「新婚」って結婚してから【1.7】年間
Q.「太った」って一か月でプラス【2.85】キロ
Q.「小銭」って【710】円くらい
自分が考えていたよりも全体的に大きな値が出ているように感じます。オジサンは43歳からということで、少しほっとすることができました。2秒は一瞬ではないような感じもしますが、よく上司に「一瞬だけよろしいでしょうか」といいつつ、10分くらい捕まえると十分短いのかもしれません。猛暑とは、気象庁が日の最高気温が35度以上の日のことを猛暑日といっているので、やや低い値になっています。
こうやって、具体的に見てみると新たな発見もあってなかなか面白い結果となりました。まだまだこういった「あいまい表現」の裏に隠された知らず知らずのうちに数字換算しているものはたくさんありそうですね。
【参考】WEB本の雑誌 http://www.webdoku.jp/tsushin/2010/05/20/003316.html
生活者発想塾 (2010/04/12) 博報堂生活総合研究所 |
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