あしたまにあーな

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平清盛 第6回「西海の海賊王」

2012年2月 12日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

前回の最後でものすごい戦いを予想させるシーンで終わった西海の海賊退治。今回はそのシーンを中心に大切な分岐点を織り交ぜるという内容となりました。

始めて一戦を交えた海賊と平氏は、完全に平氏の完敗に終わります。清盛の乳父である盛康は深手を負ってしまい、もはやこれまでかという瀕死の状態で戻るわけですが、その後もしっかりと意見していたので、なんとか元気になれたようです。

巨大な船が宋から来た唐船の威力を始めて知らしめられた平氏ですが、その唐船と棟梁を知りたいと思った高階通憲と清盛は二人で海賊船を探しに出ます。高階通憲が出てくると何となくバラエティー色が強まるような感じがします。始めて登場した際にユーモアあふれる状況であり、その後も雰囲気はそのままだったのも大きいと思います。そんな二人はこの理不尽な世の中に憂いを感じ、身分に関係なく実力がある人はどんどん登用しようという宋という国に行こうと意見が合います。この後に登場する兎丸にも共通する日本を何とかしたいという共通する思いと共に、この頃から考え方が同じような人たちが同士となり得る要素を含んでいたのかもしれません。

捕らえられながらも思い通りに唐船に乗り込むことができた通憲と清盛。そこで棟梁の兎丸に出会います。先日加藤浩次が登場するということが話題になっていましたが、実際に見てみるとすごく似合っています。話し方も途中から関西弁がばりばり出ていて、時代的にどうなんだろうと思ってしまうところもありましたが、雰囲気は良く出しているように思えました。

兎丸は、居場所がなくなった農民や漁民などを自分の船に呼んで、適材適所で仕事を与えていったことによって、自分を補佐する最高の部下を持てるようになっていました。志は違えど、この思いに感動した清盛は「この男と一緒に何か大きいことをやってやりたい」と思うようになっていったのだと思います。

このあたりのシーンは本当に迫力がありました。NHKのページを見てみると昨年の9月頃から撮影をしていて、CGなどを使わずに現場での撮影にこだわりがあり、見ていてぐっと引き寄せられるシーンが数多くありました。大河ドラマはやはり大きな迫力をどこまで演出できるか、そういう側面もあると思うので、今回はこれぞ大河と思えるシーンを見ることができたと思います。

そんな兎丸に捕らわれた清盛を救うかどうか、忠盛たちは悩みます。助けにいってやられるようなことがあれば、この任務は完全に失敗に終わり平氏は終わり、そんなぎりぎりの選択の結果、出した答えは清盛を助けにいく、それも平氏全員で。これが一つの転換点となりました。

翌朝、つるし上げられている清盛を平氏のみんなが助けに来ます。ものすごい死闘の末、平氏は見事勝利。このシーンで、棟梁の兎丸と清盛の一騎打ちはものすごい迫力でした。約6分間、カットも入れずに二人の間合いが続きます。二人にとって、小さい頃から様々な思いを相手に対して思っていた関係であることがわかり、その思いが激しい戦いへとつながっていきます。兎丸は結果、疲れ果て双方倒れます。捕らえるように命じた忠盛に清盛は、この者たちの処遇は自分に任せてほしいと進言します。結果として平氏の仲間となった兎丸は、上記でも書いたように、はじめから仲間になる雰囲気を持ち合わせていたのかもしれません。

今回の最大のポイントは、今まで平氏のお荷物だと自他共に思っていた清盛ですが、自分のために全員で助けに来てくれる平氏を見て、自分は血はつながっていなくても平氏の一員であり、武士であると心から感じたことにあります。これによって、清盛は一つ大人になって平氏全体のことを考えながら大人な対応ができるようになるでしょう。

前回まで中心になっていた鳥羽院周辺の出来事は、今回は大きく進展することもなく次につながるのはもう少し先のことになりそうです。また、義朝も熱田神宮で後の頼朝の母となる由良姫と最悪の出会いをしています。周囲も少しずつ物語の導線を広げつつ、次回はどの方向に話が広がっていくのか楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
広島県竹原市
 ?瀬戸内海
 ?耳無地蔵
 ?忠海

平清盛 第5回「海賊討伐」

2012年2月 05日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

ちまたでは、今回のドラマがあまり人気がないといわれているといいます。その理由は時代背景について、織田信長の時代や徳川家康の時代のようにあまりなじみ深いものではないことから、敬遠されてしまうことが最も大きいといわれています。自分もはじめは、平氏については源氏よりもいいイメージを持っていなかったことから不安視をしていたのですが、実際に見始めて今回で5回目。次第にこのドラマの世界観が分かってくると、おもしろみがどんどん増してくるのが分かります。

思えば、自分が知っている時代に関するドラマだと、自分の中に思い描く知識やイメージと実際のドラマがどのように違うのか、といった観点で見てしまいます。もっとこういう演出をしてほしい、ここは違うのではないかと本来のドラマの世界観とは違ったところで感想を持ってしまいます。

それに対して、今回のドラマに関するそういったイメージがほとんどないことから、純粋にドラマの世界観を受け入れることができます。さらに、人間模様を今回はきちっと描いているので、見ていてどうしてそんな風に思うのかといった思いを感じ取ることができるので、余計面白いと感じるのでしょう。唯一、王家のシーンと武家のシーンとの間で十分な絡みがないので、どのように関係するか分からないことが今後の課題でしょう。

今回は、北面の武士の間で優等生だった佐藤義清と、清盛、そして義朝のスリーショットから物語は始まります。清盛と義朝はこれまでも様々な対決をしてはライバルとして切磋琢磨してきた関係ですが、そこに佐藤義清が入り、今後何かこの3人が中心になっていきそうな感じがします。将来どんな風に生きたいかを話し合った際の3人のコメントがまた興味深いものでした。義朝は「強さを磨きたい」、義清は「美しく生きたい」、清盛は「おもしろく生きたい」と三者三様の意見を述べます。実際この三人はこの通りになっていくのでしょうか。そこも見所でしょう。

そんな北面の武士が警護する王家ですが、ここでは女の戦いが静かに始まろうとしていました。鳥羽上皇を演じる三上博史の雰囲気が常人を逸していていい感じで雰囲気を出しています。その鳥羽上皇は白河法皇の陰がちらつく璋子のことが気に入らず、とうとう物の怪呼ばわりしてしまいます。その上皇に近づいていったのが得子でした。眉毛が本当に薄いので、松雪泰子さんが演じているのに気がつきませんでした。きっとこれから得子は璋子を陰湿な方法で排除していくのでしょう。この状況が清盛たちにどのように影響を及ぼしていくのかを見守りたいと思います。

そんな清盛たちは、西国にはびこる海賊たちを討伐するために出発し、義朝は修行の旅へと東へ向かっていきます。この東西を分けた平氏と源氏が後の時代に大きく影響を及ぼすことになるのでしょう。悔しさを前面に出す義朝の表情が印象的な場面でした。

西に向かった平氏は安芸で滞在中、作戦会議を行います。その席上で鱸丸の助言を伊藤忠清が恫喝し、場は静まりかえり、結果として清盛と忠正の諍いになります。ここでいつもなら厳しい口調で言い放ったままどこかに行ってしまう忠正が清盛に、自分の思いをぶちまけます。自分でもどうすることもできない感情、それを知って清盛は忠正を責めるのではなく、なんでこの場で諍いを作ってしまうのだろうと自分を責めます。このあたり、彼の人間の大きさを感じることができます。

そしてとうとう、海賊退治の日がやってきました。最近の大河ドラマではよくあることですが、タイトルに書かれている出来事の本編は次回という流れは今回も当てはまり、今回は巨大な海賊船が大きな波を起こしながら近寄ってくるシーンでおしまいです。次回は予告編を見る限りものすごい死闘が繰り広げられることでしょう。

次第に中心となる人物が登場し今回は、阿部サダヲ演じる高階通憲が登場します。彼は最後に清盛が背負う運命が禍か宝になるかは自分次第だと諭します。このあたりの自分がどう感じ、どう進むかを真剣に考えるよう促す姿勢は忠盛に通じるところもあるのではないかと思います。これをどのように感じ、人間的に大きくなっていくのかも見物でしょう。

◆清盛紀行◆
兵庫県神戸市
 ?古代大輪田泊の石椋
 ?和田神社
 ?清盛塚

平清盛 第2回「無頼の高平太」

2012年1月 15日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

前回から平太は成長し、以前の作品のように子役をひっぱるようなことはせずに主人公を早々に登場させます。芦田愛菜ちゃんや加藤清史郎くんのような大河ドラマで抜群の演技力を発揮し人気が高まるようなことは今回はなさそうです。

平太は育ちの悩みを前回から引き続き持っているようで、中途半端な自分にいらだちを感じつつもそれを紛らわせるために、博打などに身を投じます。今の時代でもこのような出生の悩みを持っていたら、ものすごく葛藤し人生の回り道をしてしまうことでしょう。きっと、育ての父である平忠盛のことを心から感謝できるのはもっと先で、色々なことを経験した上でないとそう思えないと思います。そんな時期がいつくるかは一つの楽しみでもあります。

平氏の人々は平太のことを、知らずのうちに平氏の跡取りであると認識しているようで、無礼なことをいくらしても覆せないものと思っているのでしょう。このあたりは織田信長を彷彿とさせます。「無頼の高平太」と呼ばれても、自分は自分の正しいと思う道を進む。まだまだ中途半端ではありますが、そんな心の軸を持ち始めている様子を見ることができます。

それは、平太の実の父でもる白河法皇に直談判したときでした。元服していよいよ平清盛という名前に改まった頃、白河法皇が出した殺生禁断令によって自分の身近の人々が苦しめられ、生活のために漁を行うことさえできずに飢えに耐えている状況を見かねて、白河法皇に直談判するのでした。

父である忠盛に対して、「どうして父上は自分の清いという名前をつけたのか、罪なき人民を見捨てることは武士としてできない」とはっきり言います。このとき、忠盛は自分を武士と認識した清盛に対してうれしさを感じていました。この部分はすごく重要な場面なのですが、少し唐突だったような気もします。

直談判した白河法皇と話をした際に、白河法皇を「もののけ」と呼んで非難するのですが、逆に白河法皇から、そのもののけの血がおまえにも流れていると言われ、ショックを受けた清盛。忠盛に舞の稽古をつけてほしいと申し出ます。何らかの心変わりがあったのでしょう。もっと強くなりたいと思ったのかもしれません。

その成果が出る石清水八幡宮の臨時祭では、これまでの風貌を一変させものすごくきらびやかな舞をします。この絵なら、兵庫県知事も文句は言わずに満足するのではないでしょうか。その舞は途中から激しいものに変わり周囲が固唾をのんで見守る中、最後に白河法皇はすばらしい舞だといって立ち去ります。このあたりの微妙な駆け引きはなかなかの見物でした。

次回に向けて、白河法皇の崩御と清盛のライバルとなる源義朝が頭出しとして登場します。このあたりの時代の動きは、見逃せないものがあります。まだまだ時代感覚と雰囲気を把握するまで時間がかかりそうですが、それが分かるにつれて面白くなっていきそうです。

◆清盛紀行◆
京都府八幡市
 - 石清水八幡宮
 - 舞殿