あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第29回「最悪の夫」

2011年7月 31日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回の終わりに秀吉に、秀忠のもとに嫁ぐように言われて頑なに拒む江ですが、今回はそれが現実になっていくまでの様子を描いています。おそらくこの時代にあって、天下人の命令ともいえる言葉を拒むことなどできないとわかっていても、そんな秀吉に従うこと自体許すことができないという思いが一番強い江。

そんな江の説得に再び登場するのが姉の初でした。この方はいったいどのくらい暇なんでしょうか。何かと江や淀のもとにやってきては何かと世話を焼きます。きっと、これは脚本家のこだわりなのでしょう。市が最後に残した言葉の中で「初は三姉妹の仲をうまく取り持ってほしい」という願いがありました。それを忠実に実行している初の様子を描きたかったのでしょう。

初の説得にも耳を貸さない江の気持ちを変えてくれたのが家康でした。家康に自分のことが必要だと言われたのであれば、断ることもできません。こういう心のこもったセリフをこのドラマで見ることができるのは少しだけ意外な感じがして、北大路欣也さんの演技力を際立たせています。自分を必要としてくれるところに行くのは、双方にとっても幸せなこと。それをわかっているからこそ、江は嫁ぐことに決めたのでしょう。

嫁ぐために残る課題は、子供の完でした。完を連れて行くことができると信じていた江ですが、石田三成の進言によりこのまま残すことで話が進められます。萩原聖人さんはすごくがんばっているのですが、豊臣家のために行っているという信念をもう少し感じられる演技になってもいいと思います。思い通りにならないときの苦虫をつぶしたような表情を見ると、なんだか不自然に感じてしまうのです。

この完をおいていくという考えは最終的に淀の口から、江へと伝えられることになり取り乱します。この取り乱すシーンにこそ、母親の苦悩という今回最大の見せ場になります。子供から引き離される母親の気持ちは計り知れないものであり、どんな苦しみよりもつらいものの一つでしょう。その説得に淀が望みます。自分たちが今まで敵方で暮らしてきた苦しみを今後完にも与えるかもしれない。完は豊臣の人間であり、このまま居た方が幸せになれると。先の見えない幸せよりも、今ここにある幸せの方が大切なのでは、と少し「幸せとは?」という課題に悩んでしまいます。

最終的に、完を「姉上が命がけで完を守ってくれるのなら」と涙ながらに訴え、二度と会わないと決心して別れることにします。こういうここの動きがよくわかるシーンというのが、求めていたものではないかと思います。そういう意味で今回は、良かったのではないでしょうか。

徳川家に嫁いだ江は、秀忠と言いたいことを言い合って同じ方向を向くようになったら、夫婦になろうと言われむかついているのですが、この秀忠の言葉は実は相手のことを思いやっている発言なのではないかと思います。それに気がつかない江が幼いのか、うまく表現できない秀忠が大人になれていないのか。いずれにせよ、いつかはうまくいくと予感することができます。なので、そこまで最悪ではないと思うのですが・・・。

次回からは、少しずつ時代は動いていく感じがします。すでに残り4ヶ月と3分の1となりましたが、ここで何が話の中心になっていくのか楽しみに待ちたいと思います。

◆江紀行◆
静岡県浜松市
 - 天竜川
 - 二俣城跡
 - 信康廟(清瀧寺)
 - 中村家住宅
 - 浜松城跡
 - 浜松城二の丸跡
 - 秀忠誕生の井戸

江 -姫たちの戦国- 第28回「秀忠に嫁げ」

2011年7月 24日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

秀吉を演じる岸谷五朗さんも段々眉毛がなくなり年老いた役柄に変わっていきます。それとともにかつてのような表情豊かではしゃぎ回るような言動もなくなり、貫禄も出てきたのではないでしょうか。50代後半にしてできた拾のことを溺愛してやまない秀吉は、自分が以前に大切にした身内である秀次のことを、厄介者扱いするようになります。

見ていて心が苦しくなるのですが、「身内の自分を殺すとは」と、秀次が言った言葉がすべてを物語っています。これから受けるきつい仕打ちや自分の居場所がないというもろさから、えん罪を認めてしまったのでしょう。この時代にあって、先の千利休といい、後の家康の豊臣家に対するしうちといい、罪をかぶせることの容易さといくら自分が身の潔白を訴えても、首謀者の思いだけですべてが決まってしまうこの時代の恐ろしさを改めて感じます。

そんなシリアスな場面で、どうして江が登場するのかいまいち理解できませんでした。高野山に追放された秀次ですが、そこに直に行って話を聞く江。まるで以前に炭屋に扮して顔を真っ黒にしながら千利休の屋敷を訪れた場面を模倣するかのような説得のシーン。仮に本当に江が聚楽第から比較的距離のある高野山まで赴いたのであれば、相当の大事であったはず。

史実に基づいてこういう脚本にしているのか、謎なところです。細かい部分で脚色するのはドラマとして盛り上げる要素になりますが、根幹をなす部分における脚色は歴史ドラマとしての信憑性を疑われることにもつながります。現代ドラマであればフィクションとしてすべて片付けることができるのですが、あくまで大河ドラマは事実をおいかけてほしいと思います。

秀次は、そういった周囲からの説得もむなしく切腹して秀次のもとに行ってしまいます。最期に鳥の鳴く声に風流だと耳を傾けるあたり、文化人としての活躍を彷彿とさせます。生きる時代が違っていれば、彼も歴史に大きな名を残す偉大な存在になっていたのかもしれません。

物語としては徳川親子を注目することによって、ぐっとおもしろみが増すようになってきました。北大路欣也さんの家康も、狸おやじといわれるようなすばらしい演技で見ていて落ち着きます。家康はたとえ江という気心が知れた存在でも、決して腹の中を見せることなく「秀次様はまじめに公務をして隙を見せないことが大切」とアドバイスするも、息子の秀忠には何かあったら秀次ではなく太閤につくようにと指示を出します。この用心深さと先見性が天下人の素質なのかもしれません。こういう素質を何気なく演技で見せるあたり大河ドラマの醍醐味なのだと思います。

次回はとうとう江が秀忠に嫁ぐことになります。恨みを持つ太閤からの話だけに、断り続けていたのですが、どのように心変わりが起こり、嫌みの多い秀忠のもとにいくことになるのか、その経緯を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
京都府京都市
 - 鴨川
 - 高瀬川
 - 瑞泉寺
 - 秀次一族の墓
 - 豊臣秀次の墓

江 -姫たちの戦国- 第16回「関白秀吉」

2011年5月 01日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

いつものパターンといいますか、完全にコメディタッチに変わりつつある今回の大河ドラマなのですが、始めからその様相を呈していきました。秀吉の母と姉妹が大坂城にやってきたのです。大声で再会を喜ぶのですが、なんだか岸谷五朗さんが意図的に笑わせようとしてやっているような演技にしか見えずに、思いっきり軽い雰囲気になっています。

その軽い雰囲気とは裏腹に、ここから秀吉の野望がふくれあげって行きます。ちなみに信長の野望という戦国ゲームがありますが、そこにスマートフォン用のゲームとして最近「秀吉の野望」というものが登場していて驚きました。内容はほとんど、というかほぼ全てが信長の野望とそっくりで、戦闘シーンなどがなぜかチープなのが笑えます。全く本編とは関係のない話でした。

秀吉は手に入れようとしたものはすべて手に入れてきたと誰かが言っていましたが、将軍になるという思いは本編では茶々への気持ちなのだと言っていましたが、本当にそれだけなのか気になるところです。今回の大河ドラマ的にはそれで構わないのですが、秀吉が立身出世を目指して上を突き進む理由についてもう少し詳しく知りたいところなのでなんだか消化不良な気持ちになってしまいます。

江も前回からなんだか秀吉の参謀になっていて、的確なアドバイスを与える役目になってしまっています。このポジションはなんだかかっこいいのですが、秀吉にとって浅井三姉妹へのそれぞれの役割は完全に分かれていると考えられます。茶々は自分のものにするため愛を注ぐ対象であり、江は後に親方様がいるので恐ろしい反面参謀役としての期待している対象といえます。その中に初が完全にはぶられているのが気になるところで、登場シーンでは毎回何かを食べている状況。水川あさみさんもおそらく収録によって太ってしまったのではないでしょうか。

金銀財宝を利用して、近衛家に接近した秀吉は混乱に乗じて見事関白という地位につくことに成功します。その方法については賛否両論もあるとは思いますが、目的達成のためにできる限りの手段を使って実現させるその思いの強さは学ぶべき点が多いのではないかと思います。

この出来事によって確実に茶々の心を揺さぶった秀吉。そろそろ茶々を側室に迎える日も近いことを予感させます。それに江がどのように対応していくのか、そして江自身の流れがどのようになっていくのか次回に期待したいと思います。

◆江紀行◆
京都府長岡京市
 - 長岡天満宮
 - 勝竜寺城公園
 - 勝竜寺城石垣
 - 細川忠興・たま像
京都府京丹後市
 - 細川ガラシャ夫人隠棲地の碑