江 -姫たちの戦国- 第25回「愛の嵐」
今回は大きく3つの話題から成り立っています。一つは利休の切腹で、前回の題名は「利休切腹」だったのですが、実際それが実行されるのは今回でした。2つ目の話題は鶴松の死、最後が江の再婚という流れで進んでいきます。いずれの3つの場面でも「愛」というものが登場することから愛の嵐という題名が付いたのでしょう。
まず利休の切腹ですが、これまでこの物語を実質支えていてくれた千利休がついに切腹することになります、秀次によると秀吉は心から利休のことを好いていていつもそばにいてほしいと思っていたのに離れることを選択されたことから、切腹を命じたとのこと。このあたりの描写はうまいと思います。
しかし、堺の屋敷に戻って上杉軍を中心に3000もの兵で囲まれているところに秀勝と江は薪売りの扮装をして潜入するあたり、現実味があまりないような気がしてなりません。お姫様がそんなことをする時代なのでしょうか。しかもその潜入を許可したのは「愛」のマークが兜に入った直江兼続。「愛の嵐」一つ目がここにありました。誰が出演しているのかは非公開だそうです。
必死の説得にも関わらず、利休は自分の道だと諭し切腹の道を選んで果てていきます。石坂浩二の演技は本当にいい味を出していて今回の大河ドラマの骨組みをしっかりと作ってくれました。他の方のブログを拝見するとこちらの方が主役であるとまで書かれている方もいるくらいですが、ある意味これまでの大河ドラマの王道をいく人間味があり言葉に重みがあるキャラクターを演じていたと思います。この方が次回からいないとなると、支える役目は家康役の北大路欣也さんになっていくのでしょう。
2つ目の「愛」は、鶴松の死をもって改めてわかった両親である秀吉と淀の愛情とその反動なって現れる深い悲しみでしょう。演出としては利休の死からあっという間に鶴松が亡くなってしまったような感じになってしまい、唐突感が否めなかったのですが、この出来事をきっかけとして鬼の形相となって半狂乱に陥った秀吉が見物でした。
一方の淀を慰めるべく登場するのが初と江でした。初は京極家からまたも遠出をしてくることになりますが、移動しすぎのような感じがしてなりません。秀吉との間で茶々が恋に悩んでいた時も遠出をして、うまくいくやいなや「自分も帰って小作りをしよう」と言って去っていくものすごい演出があったのですが、作者はきっと3姉妹の結束を伝えたかったのでしょうが、もうすこし違った形にしてあげた方が現実的だと思われます。
また、物語の中では、この鶴松の死をきっかけとして朝鮮への出兵を決意することになるのですが、史実としてどうなるのか気になるところではあります。
最後の3つめは江の再婚です。これまで好きだった秀勝に嫁ぐことになった江ですが、それを決定したのは秀吉でした。先の鶴松の件で半狂乱になった秀吉が、夜な夜な怪しい顔で、「江」と書かれた紙と「秀勝」と書かれた紙を取り上げて、にやつきながら決めた模様です。ものすごい演出でした。そしてその意図も明かされないまま視聴者には悶々としていなさいということなのでしょう。
そんなことはお構いなしに、江は姉たちに「好きです」と告白し、秀勝も江の前で「自分と夫婦になってください」とプロポーズ。まるで現代ドラマのシーンのような直球発言が続きます。わかりやすいんですが大河ドラマという関係上、いいのかなと少し疑問に感じてしまいます。しばらくは彼らのラブラブな雰囲気がドラマを包み込むことでしょう。
今回、見物だったのは家康のシーンでしょう。家康は朝鮮出兵に対して兵を出すのは九州までとしています。これを太閤に認めさせることができると考えていました。自分が今までのんできたものの大きさから、今回その貸しをうまく使おうとしたのです。そのためにこれまで黙って従ってきたのだと思うとなるほどと感じます。必ず後で行動の裏付けがとれる安心感が、家康の演技にはあるのがうれしいところです。
次回は、またも悲しい出来事があるようですがその後にくるうれしい出来事でチャラ担ってしまうのではないかと不安に感じながら次回を楽しみにしたいと思います。
◆江紀行◆
京都府京都市
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