しまむらの服がかぶらない理由
安くて質の高い洋服を売っているお店として思い浮かべるのは、しまむらとユニクロではないでしょうか。自分もユニクロやしまむらの洋服を着ていますが、長持ちしていますしデザインもいいので、すごく重宝しています。一流ブランドに特別興味がないという人にとって、強い味方といえると思います。
そんな2つの企業ですが、実はまったく業態が違う企業なので単純に比較することはできないのです。ユニクロは商品を作り販売する「製造小売業」という業態であるのに対して、しまむらは企画や製造をせず、サプライヤーから仕入れた商品を売る小売業です。しまむらが売っている商品は、しまむらが作っているのではなく、社内に50人程度いるという仕入れ担当者がトレンドを見極めて洋服を仕入れるのです。
ここに、しまむらで買った服がかぶりにくい状況にある秘密があります。ユニクロは自社で大量に生産することによって、コストを下げ利益を得やすい状況にあるので、ヒートテックのように大ヒット商品が生まれると大きな利益を得ることができます。ただし、同じ商品を所有している人はどうしても多くなってしまいます。
それに対して、しまむらは「餅は餅屋」という考え方から今流行している商品を比較的タイムリーに利用者へ届けることができます。また売り切れてしまった商品と同じ物を仕入れることはせずに、また違った商品を仕入れる方法を採用していることから、利用者の間で服がかぶることは比較的少ないのです。ただし自社製品ではないので、仕入れコスト分だけ利益が薄くなってしまいます。
どちらがいいというのではないのですが、この2社の最新の財務状況を比較すると次のようになります。
ユニクロ 売上:6,850億円 利益:498億円
しまむら 売上:4,306億円 利益:217億円
単純に金額を比較しただけではその優劣を測ることはできませんし、業態が異なることからあくまで参考レベルに抑えるとして、現在ではユニクロの方が売上げや利益が高いことが分かります。
しかし、ユニクロはフリースやヒートテックのような人気商品を次々と開発して提供していかない限り、厳しい戦いを強いられてしまうのに対して、しまむらは流行にあった商品を仕入れて売ることができるメリットがあります。
今後どちらの業態が上昇していくのか注目すると共に、利用者ととしてはしまむらとユニクロそれぞれのメリットを有効に活かしてファッションを楽しんでいければいいのではないでしょうか。
【参考】J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2010/08/18073352.html
ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫) (2009/11/03) 月泉 博 |
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