新時代の市民農園の姿とは
近年、農業に関する関心が高まりつつあり、農業に従事しようという人が至るところで紹介されています。彼らは今までにないような高付加価値農作物として有機野菜、無農薬野菜という方向性を打ち出し、それぞれ独自性を出そうと頑張っています。食の安全が叫ばれる中、消費者として多少高くてもこういった商品を選ぶという選択肢が増えることはありがたいことで、積極的に利用することでもっともっと広がって欲しいと思います。
一方、専業として農業をするのではなく土日に自分が食べる分だけの農園を持ちたいという人も多くいて、そういった人たちに市民農園として開放する動きも広がっています。自分の実家付近でももともと大きな農家だったのですが、畑の所有者がご高齢になり、市に申し出て市民農園として細かく区切って貸し出す事業を始めました。すぐにその枠はうまり休みの日になると近郊から車で人がやってきては、互いにアドバイスをしながら楽しく野菜を育てている姿をよく見かけたものです。土いじりは案外楽しくて、野菜が自分の手で育っていくのも楽しいですし、それを収穫して食べる瞬間も最高の気分なんですよね。それに野菜という共通の話題で盛り上がれる人もできるし、まさに一石何鳥もの効果を生むことができるのです。
そんな市民農園ですが、プロバイダで有名なNECビッグローブがインターネットを活用したレンタル市民農園を2010年から始めると発表しました。ビッグローブがなぜ農園なのかと不思議に思う人もいると思いますが、元々レンタル農園を提供していた会社(株式会社マイファーム)に対してビッグローブがそのネットサービスのノウハウを提供し、コラボした企画といえると思います。このレンタル農園「BIGLOBEファーム」は、埼玉県久喜市内の耕作放棄地3000平方メートルを活用して提供されるもので、7.5平方メートルあたり月額3980円だそうです。現地の農園で以下のようなサービスを受けることができます。
◆現地の農園で受けられるサービス
・専門スキルをもったインストラクターから種のまき方や苗の植え方など栽培方法について直接指導を受けられる
・現地には小型耕運機やくわといった農機具が常備されており、利用者は自由に使うことができる
・ファーム管理人による水遣り・雑草処理といった各種野菜育成のサポートも受けられるため、頻繁に訪問できない初心者でも手軽に農業体験ができる
さらに、通常のレンタル農園と差別化することができる、以下のようなネットならではのサービスが充実しているのが今回の最大の特徴といえると思います。
◆ネットならではのサービス
・利用者の都合でいつでも栽培に関する様々な相談ができる「ネット農園相談室」を新たに開設していて、野菜の育成上の悩みについて的確な対処方法を入手することができる。なお、相談の内容・履歴を閲覧できるので同じような悩みを抱えた利用者間で同時にノウハウの共有ができる
・農園に設置した「ネットカメラ」により、利用者は自宅のパソコンや携帯電話からいつでも野菜の育成状況が確認できるため、来園しなくても害虫対策や収穫作業などのスケジュール調整ができる
・農園利用者間の交流を促進するために「バーチャル農園コミュニティ iplant」を提供し、BIGLOBE サイト上で販売する ID 付きの種を購入すると、実際の野菜の育成状況に合わせて、バーチャル農園上で野菜が成長する様子を楽しむことができる
SNSの要素をうまく農園に融合させたサービスといえると思います。野菜を育てるという共通目標があるからこそ、そういったコミュニティーをうまく囲い込んで、ビッグローブもマイファームもWin-Winの関係になれる収益サービスが構築されています。ネットカメラが自分の作物の生育状況をどこまで細かく表示してくれるかですが、プレスリリースの写真を見る限り、自分専用のネットカメラのように作物ひとつひとつをアップで映してくれるようです。このほかにもまだまだネットならではの農園サービスはありそうなので、これからのサービス拡張に期待したいと思います。
【参考】
・japan.internet.com http://japan.internet.com/busnews/20091106/9.html
・BIGLOBEファーム http://farm.biglobe.ne.jp/
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