あしたまにあーな

毎日の生活に ほんのちょっとのうるおいが 届きますように


あしたまにあーな > 環境問題 > 海を渡った中古家電の運命


海を渡った中古家電の運命

2008/07/28 Category: 環境問題

誕生から55年がたち、高度経済成長の日本と共に発展してきたテレビ。

最近、新型の薄型地上波デジタルテレビの売れ行きが好調です。北京オリンピックを高画質で見ようという人たちが増加しているのも一因としてありますが、真の理由は2011年に終了するアナログ放送によるものだと言われています。

このアナログ放送の終了に伴って、これから3年間で4000万台以上ものアナログテレビがお払い箱になると言われています。

7年前にできた家電リサイクル法により、家電製品は捨てる側が費用を負担することで業者が回収し、リサイクルされることになっています。とはいえ、実際にリサイクルされているのはおよそ半分ほど。残りの多くが、海外へ輸出されているのです。

株式会社ソニックでは、全国から回収されたアナログテレビを必要としている国へ再度送り届ける作業を行っています。

そんな日本から送付される中古テレビの行き先で特に多いのがフィリピンです。アナログ放送には、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式の3種類の方式がありますが、日本とフィリピンは同じNTSC方式のため、フィリピンとしても日本のテレビを受け入れやすいのです。

フィリピンでの日本製のテレビはクオリティーが高いと評判で飛ぶように売れていきます。しかし、チャンネルの数や電圧が違うため、すぐに商品にはなりません。そんな巨大中古テレビ市場を支えていたのはスラムのテレビ職人たちでした。

そんな職人の一人であるアゴスト・アラマニさん。ハンダなどを使っていとも簡単に直していきます。彼は、こう言います。「日本人は新しいものでもすぐに捨ててしまう。それをここでは新品として受け入れ、長く使うんだ」

確かにそうなんですよね。まだ使えるのに、新しい機能などによって次々と交換したくなるのがほんの少し恥ずかしくなります。

こうして新しく生まれかわったテレビを嬉しそうに買っていくフィリピンの一家族では、近所も含めてみんな勢揃いして、うつったテレビの画面に歓声があがり、奥さんの目からは涙が溢れます。

このように、海を渡ったテレビがすべて幸せな人生を歩めるものわけではありません。お隣のベトナムでは、規格が異なり使用できないためテレビが解体され、ロゴは他の会社のテレビに付けられたり、単独で売られていたりします。その他のパーツはそれぞれ分解され、中国人のバイヤーによって買い取られていくそうです。

なかでもテレビの基盤部分が一番の高値で、そこには様々な貴金属が使われています。金、銀、銅の他に、レアメタルと呼ばれるコバルト、ニッケル、パラジウムも含まれています。

逆に、まったく役に立たないのは、ブラウン管です。ここには鉛などが含まれているため、村のあちこちに放置されています。しかし、アナログ放送終了に伴って、このような状況は非常に深刻な問題です。世界中に有毒な鉛を含んだブラウン管の廃材が捨てられ、土壌汚染につながったら、その責任の一端は日本にもあることになってしまいます。

そんな問題に対して、解決策を実践している企業が京都にある株式会社ホンジョーという会社です。ここでは、鉛を薬品で溶かして粘土状にしています、この粘土は無害化して地中深く埋められます。

家電製品に限らず、車やオーディオなど日本で使われた多くが海外に輸出されています。買い換えについては、そうせざるを得ない状況があってするものですからやむを得ないとしても、せめて、これまで動いてくれていたそういったモノに対して、「これまでありがとう」と感謝の気持ちを持って接してあげることが大切だと思います。

また、リサイクルの流れについて、メーカがどこまでサポートしてあげることができるのでしょうか。法律や慣例などではなく、企業そのものが自発的に多くのサポートをしてあげることで、CSR(企業の社会的責任)を果たすことにつながるのではないでしょうか。

【参考】素敵な宇宙船地球号 7月27日放送




コメント

*



トラックバックURL