篤姫 第7回「父の涙」
とうとう於一が今和泉島津家から旅立つときが来ます。
前回、菊本が自害した理由がここにきてようやくわかります。菊本は自分が身分の低い生まれであること、そのような自分が島津本家の娘となる人の乳母であったという事実は、自分には恐れ多い。それゆえ、自分が自害することで存在自体を消し去ろうという意図があったのです。
於一にとって菊本はかけがえのない親のような存在。それがいなくなったわけですから、ダメージはでかいですね。でも、そのダメージは今回の終盤ではすでに消し去っていました。自分の力に変えられる於一を改めて強いと感じます。
最後の日、母から言われた言葉です。
「どんな人の声にも虚心に耳を傾け、その人のみになって考えてあげる。それでも迷ったら考えるのをやめ感じるがままに動くこと。」
この言葉、そして菊本の「女の道」。それが於一の基礎となっていくんだと思います。
父親である長塚京三の演技が今回は、うますぎました。素直になれずに最後まで言いたいことを言えないもどかしい感じをうまく表現していましたね。娘を持つ父親はこんな気分になるんでしょうか。自分は息子ですが、将来どのような気持ちになるのかいてもたっても居られなくなります。
父親だけでなく、尚五郎、西郷、大久保も、於一のことを遠い存在となってしまうような、そんな寂しい気持ちになってしまいました。尚五郎の苦しさも伝わってきて、思わず涙してしまいました。
前半の山場となった今回。これまでで最高の涙を流した回でした。
於一は、今和泉の人から島津の家へ女の一本道を進んでいきます。
篤姫―NHK大河ドラマ歴史ハンドブック (NHKシリーズ) (2007/12) 不明 |