懐かしさを感じる「雨のにおい」の正体
梅雨の季節は何となくじめじめしているし、肌寒いしいいことないと考えてしまいがちですが、雨の降り始めと雨上がりに、なんだか懐かしくなる「雨のにおい」を感じてちょっと嬉しくなったことがある人は誰でもいると思います。
でもよく考えてみると、この「雨のにおい」とはどのようなものなのでしょうか。それを科学的に示してくれたのが、においの研究している東北大学大学院の坂井信之准教授です。今回はこの坂井さんから、雨のにおいの正体を教えてもらうことにしましょう。
◆雨が降る前のにおいは植物由来
雨自体はただの水分なのでにおいはありませんが、それ以外に起因している物質があります。まず、雨が降る前に大気中の湿度が上昇すると、地面に生えている植物に含まれる鉄分や油分が湿気に反応して、「ペトリコール」という独特のニオイ物質を発散します。
◆雨上がりのにおいは下水のにおい!?
雨が上がった後の空気は、少し埃っぽいニオイがします。これは雨で湿った土壌に含まれる細菌や微生物が発散する「ゲオスミン」という物質のニオイで、人の嗅覚はこのニオイに対して非常に敏感だといわれています。ギリシャ語で「大地のニオイ」という意味の名前で、下水道から発生するカビ臭いニオイと同じ成分なのです。
それぞれのにおいが、とある物質が起因していることはわかりました。それに対して、人は懐かしさを感じるわけですが、これは、人が誰でも同じように感じるものではないといいます。
子供の頃育った環境でこのにおいをかいだことが記憶の中に刻み込まれており、それが今も息づいているのです。においや味というものは、小さい頃の記憶をよく覚えていてそれが「懐かしさ」を感じさせているということになります。
それと一緒に小さい頃に雨の中で遊んだ楽しい思い出もセットになっている人は、雨に対しても憂鬱ではなく楽しみに感じているのではないでしょうか。
【参考】web R25 http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20120613-00024662-r25
雨のにおい 星の声 (えほん・こどもとともに) (1988/01) 赤座 憲久 |
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