海水淡水化技術を世界へ
人が生活する上で欠かすことのできない飲用水は、地球上に無尽蔵に存在している中でたった0.01%しか利用することのできないものを使っています。多くが海水となっていて人はそれを飲むことができず利用できないのです。
ならばその海水を飲めるように利用すればいいのでは、という発想から海水淡水化技術が発展してきました。その中で大きな期待を寄せているのが「逆浸透法」と呼ばれるものです。これは、穴の大きさが0.1ナノメートル程度で水分子だけが通過することができる逆浸透膜に圧力を掛けて海水を通すことによって、真水を得ようとするものです。
そんな逆浸透法に用いる逆浸透膜は、日東電工、東レ、東洋紡の日本の3社で世界シェアの約半分を占めていて、日本の技術は世界的に優位な立場にあるといえます。現在は、ある課題に向けてその技術力を磨いています。それは、海水中に含まれる
細菌やカルシウムが結晶化して逆浸透膜を詰まらせてしまい、水質の劣化や水量の減少になってしまうのを防ぐために、膜を洗う手間をどのように削減していくかというテーマであり、日夜技術者が試行錯誤を繰り返しているのです。
この海水淡水化の世界市場は2025年に4兆4千億円にもなる有望市場であることを考えると、日本企業の絶対的優位のように見えますが、現実問題として日本の存在感は薄いのが現状です。
それは、部品や単体の技術といった側面では非常にレベルにある日本企業なのですが、それを組み立て事業として展開する能力が不足していることがひとつの要因としてあげられます。これは理科系に共通している日本の課題だといえます。色々その理由は挙げられるのですが、基礎研究から実用化に至るまで、すべての関係者の力を結集し同じ目的を持って日本の事業パッケージを売り込んでいくという姿勢が必要であると思います。
【参考】be on Saturday 2011/05/28
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