ご存じですか?「ネットの119番」
数年前、自宅で突然呼吸困難になってしまい声を出して救急車を呼ぼうと思っても声を出すことができなくなった女性がいました。彼女はとっさに携帯電話で市が用意したWebページにアクセスすると、数分後に救急車がやってきて一命を取り留めたといいます。
そんな彼女を救ったのが「Web119」というサービスです。それぞれの自治体で行なっているサービスで、予め自宅を登録したり、GPSつきの携帯電話を持っている人であれば利用することができます。登録内容は自治体によって異なりますが、概ね自宅住所やかかりつけ医などを登録しておくことが多いようです。申込みを行なうと、専用WebページのURLが書かれたメールが送られてくるのでそれをいつでも使えるように保存しておきます。利用したいときに、Webページにアクセスし異常を知らせると通報が司令センターに届く仕組みになっています。
声を出すのがつらい状況では本当に利用価値がありそうですが、残念ながらその知名度が全くないのがこのサービスの課題といえます。横浜市では2003年に登場してから今までの登録件数が約70人。富山市に至っては2004年から今まで1件も申込みがない状況となっているとのこと。せっかく利用価値があるシステムでも知らないのでは使いようがありません。
ようやく、知名度アップのための取り組みが各地で始まりだしたようですが、すでにサービスが開始されて7年以上経過するにも関わらず、今まで何の手も打ってこなかったことに対して疑問を感じます。市のWebページに載せたからいいとか、広報誌に載せたから後は見ない方が悪いという考え方が働いているのかもしれませんが、民間のサービスではあり得ないことだと思います。
もしかしたら、このサービスをもっと早く知っていれば、いい結果を得ることができた人も多くいたに違いありません。消防局を始め、公共サービスを提供している方は、今一度利用頻度が低くなっているにも関わらず利用価値が高いと思われるものを洗い出してアピールすべきではないでしょうか。
【参考】日本経済新聞 2010/03/26
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