マクドナルドの「“景気をつかもう”商品券」はお得?
1万2000円という価格の商品が巷に溢れるようになりました。旅行、通販など実に多くの商品が定額給付金を使ってしまうと消費を喚起するメッセージと共に売り出されています。この中にマクドナルドも一つの商品を発売しています。それが「“景気をつかもう”商品券」です。
この商品券は1万2000円なのですが、マクドナルド商品が2万円相当分購入することができるお得な商品券だといいます。もしこれが本当であれば、8000円分まるまる得をしてしまう計算になります。購入する側にとってはこんな嬉しいことはないのですが、このような商品を売り出すマクドナルドとしては、それでいいのでしょうか。果たして本当にお得なのか、何かあるのではないかとよく見てみることにしたいと思います。
◆商品券の概要
・「景気をつかもう!」定額給付金キャンペーン
・販売期間:2009年5月15日?各店売り切れ次第終了
・有効期限:2009年11月14日 24:00まで
・クーポン詳細
?セットA商品券 10枚
クォーターパウンダー・チーズ/ビッグマック/えびフィレオのいずれか
+ポテトM+ドリンクM
?セットB商品券 10枚
ダブルチーズバーガー/てりやきマックバーガー/チキンフィレオのいずれか
+ポテトM+ドリンクM
?セットC商品券 9枚
お好きなハッピーセットもしくはチーズバーガー+ポテトM+ドリンクM
※朝マックハッピーセットを除く
?デザート・サイドメニュー商品券 3枚
サンデーチョコレート/チキンマックナゲット/ポテトM のいずれか
?シャカシャカチキン1 個商品券 3枚
?プレミアムローストコーヒー(S)商品券 30枚
ホットまたはアイス1杯
?コールドドリンク(S)2杯商品券 4 枚
マックシェイク、アイスカフェオレ、ミルク、野菜生活100、
ミニッツメイドアップル100、アイスカフェラテ、アイスカフェモカ、
アイスキャラメルラテは対象外
◆考察1 セットの商品内容(利用者側からみると?)
商品券で買えるものは、何でもいいわけではなく特定のものに限られます。特定のセット商品券が29枚、サイドメニューが3枚、ドリンクが34枚ということになります。この内容について利用者の側とマクドナルド側から見てみます。
まず、利用者ですが半年間にセット商品を29回注文するということは毎週マクドナルドに行く必要があります。あまり現実的ではないので、周囲の人に分けるのでしょう。高い商品ばかりを選ぶと、2万2620円分となり、1万620円得することになるといいます。最低でも9420円は得になるのです。
一人で行くのは本当に大変なので、自分の周りにマクドナルド好きが多く、かなりの頻度で行く人で、商品券があるから行くのではなく日頃からマクドナルドをよく利用していて、上記の商品を購入しているんだという人であれば、利用価値はあると思います。
◆考察2 セットの商品内容(マクドナルド側からみると?)
セット商品の収益は本当に多く、安い原価であることが知られています。ハンバーガーセットは60円程度、てりやきマックバーガーでも100円程度だと言われています。その他の商品に関しても原価が比較的安いものが並んでおり、逆にドリンクでミルクや野菜生活のような原価が高いものは対象外になっています。つまり、商品券を安く提供しても十分もとをとることができるのです。
さらに、この商品券を購入した人の中にはそんなに来店頻度が多くない人もいます。そんな人もすでに前払いで購入しているので来店することになり、購入機会を増やすことができます。上記の商品券にないものまで注文する人もいるでしょうから、売り上げは伸びるでしょう。
◆考察3 有効期間
この商品券には有効期限があります。半年以内に使い切らないと紙くずになってしまうのです。当然購入した人はあせるでしょうね。ギリギリでは駆け込みでマクドナルドに行くことになると思います。購入した人の中には、商品券を残念ながら期限までに使えなかった人もいるでしょう。購入者は、単純にその分を損することになるのですが、マクドナルド側にとっては得になるのです。
以上から、普段多く来ない人をより多く来店させる効果をもつ今回の施策は、マクドナルド側にとって十分勝算があるといえるのです。マクドナルドも企業ですから、利益を追求することは当然です。損をしないと分かっているからこそ、企画をしてサービスを提供しているのです。利用者としては、ただ安いから、お得だからと購入するのではなく、今回の商品券が本当に自分の普段のライフスタイル、利用頻度を考えて”お得”なのかを考えて購入すべきだと思います。
【参考】日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090514/1026174/?P=4
30日間マクドナルド生活―自分の体で実験してみました (2006/05) マツモト ケイジ |
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