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人気奥能登美食の宿にみる食治のヒミツ

2009/02/23 Category: 環境問題

さんなみ
冬は陸の孤島となる奥能登。そこに日本で最も泊まってみたい宿ランキングで一位を獲得した宿があります。そこは、郷土料理の民食「さんなみ」。ここは、海と静かな時間だけが流れる1日たったの3組限定の宿にもかかわらず、半年先まで予約がいっぱいな状況なのです。

宿泊客の一番のお目当ては、なんといってもその食事です。地元産の海や山の幸をふんだんに使ったその食事は、食べて体を元気にする「食治」といわれています。「食治」には、素材から調理法にいたるまで能登の地形や気候、文化と深い関わりを持つ安心・安全な食事が原点にありました。今回はこの「さんなみ」で出される食治について見ていきたいと思います。

■大根
大根は、雪の下におくことで甘みが増すといいます。その野菜の力をそのまま頂くのがさんなみの食事なのです。このほか、50種類以上の保存食がありそのほとんどは奥さんが山などで採ってきたものだそうです。

■魚介類
年間300種類もの海の幸が水揚げされる奥能登の港。富山湾は立山連峰の雪解け水が7本の一級河川となって注ぎ込み、水中からもわき出すことによって栄養豊富な場所になっています。

また、暖流が能登にぶつかり渦を巻くように富山湾に注ぎ込みます。その影響によって魚が湾内に入ってくることから、能登半島そのものが巨大な定置網になっているのです。そこで定置網がはられ新鮮なままの魚介類が水揚げされ、それがさんなみに届けられるのです。

■いしり
奥能登では、厳しい自然のなかで昔から塩が作られてきました。暖流と寒流が重なるところで海水が綺麗であるという理由で、奥能登では良質な塩が作られてきたそうです。その塩を使った能登秘伝の調味料が生み出されました。それが「いしり」という魚醤の元です。魚醤の材料はイワシが普通ですが、新鮮な真イカの内臓に天然塩をまぶして長い間発酵させて作ったのが、奥能登のいしりの特徴です。

中に含まれる自己消化酵素によって、タンパク質や糖質をアミノ酸などに分解していき、うまみたっぷりな、いしりができるのです。このいしり、アミノ酸が大豆しょう油の約2倍にもなるおいうのですから驚きです。さんなみでは、3年間熟成させたいしりの一番絞りを使っています。

■こんかいわし
能登の代表的な珍味です。通常は1年熟成させるものを、さんなみでは3年も熟成させて出しています。

■自家製鰹節

■煮物や漬物
どれも能登の風土が作りだしたおばあちゃんの味です。心にも体にも優しい味で、体の方から綺麗になっていくといいます。体の中に溜まっているものが一口食べるたびに治っていくかのようだと実際に食べてみた室井滋さんは言います。

さんなみをはじめたのは25年前で、はじめは見向きもされなかったのですが、時代の変化なのか、次第に化学肥料や消毒などの材料が増えてきました。ご主人はどうも本来と違うなと違和感を感じ始め、安全でまっとうな食事を出したいと思う気持ちを変えることなく続けていき、日本の食の不安が増すにつれ、さんなみの人気も高まってきたそうです。何とも皮肉な結果といえるでしょう。

さらにさんなみでは、海の幸を頂いているのできれいにして返すことが大切だという思いから、生活排水を微生物を使った浄化槽できれいにしてから排水しています。考えが本当に徹底しています。海から恵みをもらう以上その海に恩返しをするのは、当たり前なんですよね。

かつては、さんなみのような食事が日本の伝統的な食事としてあったはずです。これを機に、もう一度食の原点を見つめ直してみるのもいいかもれません。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2月22日


使うのは奥能登の魚と塩だけ海の味がする昔ながらの一夜干し一夜干しの里


「加賀百万石のかくし味」 いしり魚醤 500ml




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