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砂漠の巨人の独りごと

2008/09/01 Category: 環境問題

アメリカ大西部アリゾナ州、カリフォルニア州、そしてメキシコ合衆国ソノラ州にかけて広がるソノラ砂漠。ここには、無数のサワロサボテンが一面に広がっています。

このサワロサボテンは、アメリカ西部を象徴するような高さ17メートル、重さはなんと20トンにも及びます。さらにすごいのはこのサボテンが200年も生きるということ。まさに名実共に砂漠の主なんですね。

それでは、このサワロサボテンの生態を見ていきましょう。サボテンの周囲には実に多くの動物たちが生活しています。彼らは、普段はこのサボテンによって外敵から守られていたり、住居になっていたりもするのです。外敵もサボテンの強力なとげにそれ以上襲ってくることはありません。

彼らは、ただサボテンに守られているだけではありません。サワロサボテンは、1年でたった1日だけ午前0時頃から花を咲かせます。50年以上生きてきたサボテンだけが実を付けるのです。その熟したメロンのような香りの花に多くの鳥がやってきます。

鳥たちはサボテンの受粉を助け、それによって受粉したものは赤い実をつけます。この実の中に40万個もの種が存在し、実を食べようと、鳥やカメ、イノシシ、ネズミたちがサボテンの周りに群がります。

動物は、サボテンの実を遠くまで運んでいくことによって、繁殖を繰り返すのです。このようにサボテンを中心にもちつもたれつの砂漠の命の連鎖ができているのです。

次にサワロサボテン自身を見てみます。

砂漠という環境上、いかにして水を得るかに命がかかっているといえます。サワロサボテンは、とげの先端からでさえ水を吸収でき、根っこも地表すれすれにあるといったように、ありとあらゆる場所から1滴も水を逃さないような構造になっています。

一度水分を吸収すると、内部のスポンジ状の部分に大量の水を蓄えられます。最大で体重の倍くらいまで水を蓄えることができるというのですから、1本でものすごい量の水を蓄えられることが分ります。

また、サボテンの内部に骨格を持っていて、強風に耐えています。まさに柔構造の免震設計になっているのです。これで、強風が吹いてもびくともしないのです。

サワロサボテンは、まだ小さい赤ちゃんの頃はナースプラントと呼ばれる小さな灌木の下で直射日光をうまく遮りながら成長するものが多く存在します。うまく灌木を利用できたサボテンはその寿命が長いようです。

このサボテンに対して昔から人々は尊敬の念をもって接してきました。先住民トホノ・オオダムはその昔から今もなお、サボテンの実をとって心臓に付けて祈ることで雨が降ることを祈っています。

ところが、このソノラ砂漠にも異変が起きています。恵みの雨がたった3時間で止んでしまうのです。このアリゾナでも地球温暖化の波はやってきていて、年々降水量が減っているそうです。

さらに、砂漠を浸食する人間達の存在もサワロサボテンにとって驚異となりつつあります。アリゾナ州ツーソンはこの10年で30%もの人口増で、大量の地下水を使用していることから、サボテンへの影響も懸念されているのです。

この危機に対して、サボテンと人間が共生する道を模索し始めています。

自然も人も人一人では生きていけない

そのことを今一度考えてみるいい機会なのかもしれません。自分たちよりもずっと長い間地球を見てきた大先輩であるサワロサボテンに敬意を表し、生態系を守るような都市設計をしていかなければならないと思います。

【参考】素敵な宇宙船地球号 8月31日

不思議なサボテン 電磁波を吸収する!?  『2008年8月28日 入荷商品 』




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