奇数、偶数のお作法
日本では昔から数に関する作法が伝えられてきました。大きく奇数は吉で偶数は凶だといわれていますが、これは中国の陰陽道において、奇数が陽の数字、偶数が凶の数字ということから伝わったという説もあるといいます。
これが、様々な場面で利用され、大きく慶事には奇数、弔事には偶数という風に利用されています。これは、喜ばしいことは割れてしまわないように奇数であり、悲しいことはみんなで分かち合うことによって少しでも負担を少なくするという意味もあるそうです。
確かに、五節句は、1月7日(七草の節句)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(笹の節句)、9月9日(菊の節句)といずれも奇数を合わせたものであることからも、昔から偶数、奇数をそれぞれのTPOによって区別して利用してきたことが伺えます。
しかし、時代と共に偶数と奇数をわざわざ気にすることも少なくなりました。結婚式やお葬式のような冠婚葬祭の場合以外の日常生活の中でそれほど分けて考える必要もないとマナーデザイナーの岩下宣子さんは話します。
それよりも利便性や相手の生活の状況を考えて贈り物をしてあげたほうが、相手も喜ぶのではないでしょうか。時と場合における最適な考え方は、縁起という目に見えないものから利便性という実利に移ってきたといえると思います。
【参考】日経Plus1 2014/4/14
日本人のしきたり―正月行事、豆まき、大安吉日、厄年…に込められた知恵と心 (プレイブックス・インテリジェンス) (2003/01) 飯倉 晴武 |
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