待ち時間は予測できる
人気ラーメンのお店や有名なドーナッツ屋さん、デパートの地下など長蛇の列に並んででも食べたいという衝動に駆られることはよくあると思います。行列に並ぶことに抵抗がない人がいいのですが、多くの人は自分の番が来るまでイライラして待つことになるのではないでしょうか。あらかじめ並ぶことが分かっていても、それを承知で並び始めた途端にストレスになるのも不思議な話です。
そのストレスは、長蛇の列に並んでいるということよりもむしろ「いつこの列から解放されるか分からないという不安」からくるものではないでしょうか。だとすれば、行列の待ち時間があらかじめ分かることによって、ストレスなく待ち続けることができるはずです。例えば、歩行者信号には待ち時間をバーで表したものもありますし、遊園地での待ち時間表示から見ても分かると思います。また、病院の待合室で名前を呼ばれる形式から番号制になったのも、個人情報の保護という観点の他に、待ち時間を予測しやすくするためという理由もあるそうです。
待ち時間を予測する際に便利な公式があります。それが「リトルの公式」です。リトルの公式は以下になります。
(自分の待ち時間)=(最終的な行列の総人数)÷(1分間で列に新たに加わる客数)
例えば、1分間に列に2人新たに加わり、現在の総人数が12人であれば、待ち時間は6分ということになります。状況によって数値は変わってくるのですが、一応の目安として自分の中で計算しておくと精神的にも楽だと思います。
他の例として、車で信号待ちをしていると仮定します。信号が青になってから先頭から徐々に発進し始めるのですが、自分が発進できるのは何秒後かを簡単に出せる計算式もあります。
自動車の発進が伝わる速度は研究から秒速5.6メートルと分かっています。つまり1.4秒に1台進むので、自分の前の台数に1.4秒をかけ算するだけで待ち時間を出すことができるのです。これが人の行列であれば、秒速0.8メートル、つまり1秒ごとに1人が動き出すので、自分の前の人数に1秒をかけ算した秒数が待ち時間ということになります。
落ち着いている場面での行列であればいいのですが、これが災害などでお互いに普通の精神状態でない場合には出口で流れがつかえてしまう「アーチアクション」減少がオオ成ってしまうといいます。大切なのは、待ち行列に対して心の余裕をもつこと。そのために自分がこれからどのくらい待つのかの目安を持っておくことは非常に有用であると言えます。この辺りは人間関係にも応用することができるかもしれませんね。
【参考】日経Plus1 1月17日
行列があると、なぜ人は並んでしまうのか―儲けの心理学 (コスモ文庫) (2007/05) 不明 |
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