あしたまにあーな

毎日の生活に ほんのちょっとのうるおいが 届きますように


あしたまにあーな > 高橋英樹


篤姫 最終回「一本の道」

2008年12月 14日 By: rainbow Category: 2008年_篤姫, ドラマ No Comments →

とうとう今回が最終回となりました。これまで天璋院を中心として実に多くの人が心と心で結びついてきたのですが、最終回を迎えてその多くの人たちが去っていき、そして再開します。始めに再会したのはお幸と忠敬でした。お幸は天璋院に対して自然と「於一」の名前が出てきます。やはり母と娘の絆は強いものだったのですね。思えば、天璋院に対して精神的な支えとなり、時には厳しくそして優しく守ってくれたのは、お幸と菊本だったのですよね。随分前のことのように思います。菊本は「女の道は一本道だ。振返ってはいけない」と言い残し自害してしまったのですが、その心をどこかでずっと感じていたのでしょう。その菊本が回想シーンでも登場する場面がほとんどなかったのが残念です。

天璋院は、家定が亡くなってから家定の心をずっと後世に残していこうと心に誓います。そして、その徳川の心は確かに多くの家族へとつながっていき、やがて家達へと注がれていきます。家達は昭和15年まで生きることになるのですが、徳川家は今でも脈々とその心をつないでいます。徳川宗家だけでなく、大奥にいた女中もその心を多くの人につないでいったのです。そういう意味で天璋院は徳川の母なのかもしれませんね。

物語は着々とクライマックスに近づいていきます。まず永久の別れとなってしまったのが、小松帯刀でした。薩摩にいた頃からずっと一緒にいた肝付尚五郎は小松帯刀になっても於一、篤姫、天璋院を慕っていました。お守りもずっとおそろいのものを身につけていて、二人の心はいつでもつながっていたのです。「また、次回に会うときまで元気でいます」と天璋院に言われたときも覚悟していたのでしょう。もう会えないとは分かっていても、会えると信じて疑わない天璋院の気持ちを考え、あえて快諾するのでした。本当に胸が苦しくなりますね。物語はこの二人を中心に動いてきただけに、小松帯刀を亡くしてしまった天璋院は悲しみに暮れ、家定のときよりも激しく嗚咽します。

そして、新政府になって去っていく西郷。彼はその後西南戦争にて自らの一貫した人生に幕を引きます。

すべての人が懐かしくて仕方ありません。天璋院のために闘った人、尽力した人など実に多くの人たちがいました。大奥というこれまでどのような場所なのか分からないところも今回の大河ドラマで、人と人が密接に結びついたドラマがあることも知りました。この大河ドラマを通じて印象に残ったのは、天璋院や家定が言いたかった「心を残すこと」、それはものが残る以上に多くの人たちに影響を及ぼすことができるということ。そして、いちぃど決めたことに対してあとは流れに身を任せ、がむしゃらに走るということ、まさに一本道ですね。

これまでの大河ドラマが戦が中心だったのに対して、心が中心だった数少ない大河ドラマといえると思います。それゆえこれまで大河ドラマを見なかった人の心にもそれが残っていったのでしょう。まさに心は我々の心にも残ったのです。

NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第壱集 [DVD] NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第壱集 [DVD]
(2008/12/19)
宮崎あおい瑛太

商品詳細を見る

NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第弐集 [DVD] NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第弐集 [DVD]
(2009/03/25)
宮崎あおい瑛太

商品詳細を見る

篤姫 第48回「無血開城」

2008年11月 30日 By: rainbow Category: 2008年_篤姫, ドラマ No Comments →

今回からクライマックスに向けて幕引きが始まりましたね。今回の見どころは、西郷の心の移り変わりと、天璋院による江戸城明け渡しまでの心の移り変わりです。

教科書や様々な書籍によると、西郷と勝海舟の会談によって江戸城の無血開城が決まったといって、比較的勝の調整能力が素晴らしかったためという雰囲気で語られているような気がするのですが、今回篤姫で登場する西郷や勝は少し要すが違います。それはその心の浦に天璋院がいたことですね。これがもし本当であれば、江戸城無血開城を実現し、さらに江戸の街を焼け野原にせずに、人々の生活をも守ったのは天璋院と言うことになります。これは本当にすごいことですよね。この時代に、内紛をしていたら諸外国から攻め滅ぼされる可能性もあったし、それがないとしても江戸の文化はなくなっていたことでしょう。今日の東京があるのも天璋院のおかげといっても過言ではないでしょう。

西郷は、斉彬から天璋院へあてた手紙を読み、改めて尊敬する斉彬が思い描く新しい日本の形成を受け継ぐ身として軌道を修正することに成功します。それに対して大久保がぼそっとつぶやいた、「徳川をつぶしておけば良かったのに」という言葉が今後の流れに影を落とすことになるのでしょう。それはまた後に時代の話。

無血開城によって、大奥の人々は江戸城から立ち退く必要が出てきました。この選択が本当に良かったのか、天璋院は悩みに悩みます。滝山など部下の人々も混乱しつつありました。そんななか、心に迷いがあった天璋院は家定の墓前に自分の判断は正しかったのか相談を持ちかけます。すると、出てきました。家定様が。ある意味想定通りの登場に冷め始めていたところに、家定様がいいことを言います。「徳川の心を残したい。それぞれの人たちがいるところ、そこにそれぞれ徳川の心が残り続けるのだ。」と。さらに、「ひたむきに生きよ、いつも見ているから」と残して去っていくのでした。

これによって天璋院の心は決まります。その後大奥の人々を呼び集め、江戸城の開城を伝えます。この場面での宮崎あおいは、大きな声を出し過ぎて、少し枯れてしまったようですね。もう少し落ち着いた声で話す方が雰囲気を出すことができたのかもしれません。

そして、大奥につとめる者は皆、徳川家の家族であり、大奥を出た後の世話も自分が責任を持つと自ら仰り、きょどっていた本寿院も自分の居場所を確保できたことで落ち着きを取り戻します。最後の一人までとは本当に大変なことだと思うのですが、その真剣な気持ちがあったからこそ、その後の流れがスムーズに進んだのでしょう。天璋院がいたからこそですね。何かのピースがなくても、このようにうまくはいかなかったのでしょう。

さて、あと2回となりました。どのようなクライマックスが待っているか楽しみですね。

NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第壱集 [DVD] NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第壱集 [DVD]
(2008/12/19)
宮崎あおい瑛太

商品詳細を見る

NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第弐集 [DVD] NHK大河ドラマ 篤姫 完全版 第弐集 [DVD]
(2009/03/25)
宮崎あおい瑛太

商品詳細を見る

篤姫 第29回「天璋院篤姫」

2008年7月 20日 By: rainbow Category: 2008年_篤姫, ドラマ No Comments →

第13代将軍家定がなくなり、少しずつ安定期を抜けて様々なことが動き出しそうな、そんなイントロダクションという感じの放送でしたね。

家定が亡くなったことを、伝えてあげないと行けないと思った篤姫はお志賀と本寿院にそれぞれ伝えるのですが、お志賀からは「お恨み申し上げます」といわれ、本寿院からは切り花でペチペチと叩かれる始末。それでもただひたすらにそのことに耐える篤姫の姿に、次第に周囲も篤姫の本意を分かってくれるようになります。

そして、家定の死が公になった後、篤姫は御台様から「天璋院」様として新たに生まれ変わります。於一から始まった彼女も何度その身分を買えてきたのか分かりませんが、今後はこれ以上に時代の流れの中に飲込まれていくんですね。

井伊直弼を演じる中村梅雀の演技も、鬼気迫ってます。なんだか悪役の様相を呈してきましたが、ただ水戸藩などに恨まれるだけの存在になるのではなく、彼が理想とした幕政の復活という理想を追い求める故の行動なんだということを、うまく表現して欲しいと思います。

彼の運命を知っているからこそ、そんな考え方になるのかもしれませんが、天璋院が家茂を補佐して表舞台で後見人として活躍することができるのかが、直近の楽しみですね。今のカンジダとなかなか厳しそうな気がしますが、きっとこれまでの困難を乗り越えてきた彼女であれば、プラスの方向にいってくれると思います。

一方、同時期に斉彬を亡くした薩摩藩は、後の久光を中心に違った幕府の改革を進めようと、だんだん武闘派として活躍していく空気が高まってきたようです。小松帯刀が久光のお側で働くようになりましたが、今後大久保や西郷と共にどのように薩摩を日本の中心藩として成長させていくんでしょうか。

そんな2つの大きな流れがゆっくりと流れ始める、そんな源流が今回だったような気がします。

【CD】NHK大河ドラマ オリジナルサウンドトラック「篤姫」/TVサントラ