正確に水を分ける先人の知恵
現在水の存在価値が改めて大きくなっていますが、水は昔から人々に恩恵を与えるものであるゆえに様々な争いが絶えませんでした。海外では今でも水を自分の畑に入れるためにお金を払い、きちんと水が来てくれるか不安を感じているところもあります。水の配分は予め決められた分量を確実に行なう必要があることから極めて公共性の高いものだったのです。
そんな水を分ける分水管理のひとつの方法として採用された方法が、今も川崎・二ヶ領用水の久地分量樋に残っています。その方法とは、円筒分水というもので正確な自然分水を目的として昭和16年に作られました。その仕組みはすごくシンプルです。円筒の中心から湧き出させた水は円の縁の方向に流れていきます。
そこに配分量にあわせた敷居を作って、水を分けるのです。当然大きな配分を約束されたところは円弧の長さが大きくなり、少ない量しか割り当てられていないところは円弧の長さが短くなります。
円筒分水の技術は、当時最も理想的で正確な自然分水方式の1つだといわれていたので、近年に至るまで各地で造られているといいます。今でも関東地方を中心に全国約30箇所の農業用水に存在しているそうです。自分が住む神奈川県の水瓶である相模湖や津久井湖から流れる水も円筒分水を利用した下九沢分水池にて川崎と横浜に分けられていっているということを知りました。
このように、水を管理する技術は分けるという1つをとっても考え抜かれた素晴らしい技術をもって行なわれているのです。まだまだ水を取り巻く技術はたくさんありそうです。
【参考】
・二ヶ領せせらぎ館
・円筒分水ドット・コム http://entoubunsui.com/
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桜に様々な思いを込めて
部屋にいることが多かったので、久しぶりに子供と外に散歩に出かけることに。自転車を運転したがっている子供の要望に応えて、多摩川まで自転車で桜を見に行くことにします。午前中は、買い物中に「疲れた」を連呼していた子供も、自転車を運転するとなると、いつものものすごい体力を取り戻し、グイグイと運転していきます。あまりにも道路の真ん中をものすごいスピードで暴走する子供を全力で追いかけるパパという怪しい光景が広がる訳ですが、なんとか危ないこともなく二ヶ領せせらぎ館に到着します。
ここは、毎年桜の名所として多くの人で賑わう場所なのですが、今年は心なしか人も少ない様子。お花見を自粛しようという流れもありますが、自分たちは普段通りに生活することによって、被災された方々への力を蓄えることが必要なのではないか、そう考えると哀しみ続けるのではなく前を向いて明るく生きることに心を向けていきたいと思います。
到着した子供は、一面の桜をみて「うわぁ、きれいだね」とすごく嬉しそう。これまでも子供を連れてここに来ていますが、きっと今年初めて見るような気分なのでしょう。上からふわふわと落ちてくる桜の花を拾っては川に投げて遊んでいます。さらに、花びらをママにプレゼントするんだといってたくさん拾っていました。心優しい一面を見ることができて、親としては本当に嬉しい限りです。
久しぶりの外なので、先ほどまでの疲れた様子は全くなくキャッキャいいながら走り回っていました。こうやって楽しんでいる様子を見ると、多少放射能の影響は気になりますが、それでも連れてきてよかったと思います。
来年は、どのような気持ちで桜を見ることができるのでしょうか。今被災された方々に、そして今目の前にいる子供のために、自分ができることを1つずつやっていき、来年こそはみんなが桜を穏やかな気持ちで見物していたいと強く感じます。そんな日本人の心の底流にある思いを、桜の花は思い起こさせる不思議な力があるのだと思います。