平清盛 第13回「祇園闘乱事件」
今回は清盛が起こした騒動である「祇園闘乱事件」一色となりました。ここまで題名と内容がぴったりと合うのも珍しいことではありますが、それ故終始一つの内容をしっかりと見ることができて満足できるものとなりました。
強訴を当然快く思っていない比叡山延暦寺の僧侶たちは、平氏の中で一番の弱みである兎丸を挑発することによって見事混乱を起こすことに成功します。絶対的なものを背中に背負っていることから、かの白河院も自分の意のままにすることができなかったと言われる僧侶たちですが、清盛たちもまた同じように苦労することになります。
きっかけは些細なことではありましたが、いずれ平氏の存続を揺るがすほどの大きな出来事となっていくのですが、ここでも存在感を見せつけたのが忠盛です。ここぞとばかりに検非違使に被疑となった人々を差し出し、さらに自分と清盛を連れて検非違使で蟄居する選択を即断します。
この中で、普通なら自暴自棄になってしまいそうになる清盛をうまく抑え、効果的な言葉を発します。それは舞子とのなれそめと清盛をなぜ自分の子供としたのかということ、さらに清盛が平氏や世の中にとってなくてはならない人物であることを語ります。この後の清盛はどう感じたのか分かりませんが、最後の場面で非常に効果的であったことがわかります。
平氏をつぶそうとする人は多く、この事件をきっかけにして藤原摂関家の頼長などは、いつものように事実をねちっこく調べ上げて、鳥羽院に直訴します。このいやらしさがあってこそ、困難な状況であることが強調されているのだと思います。そういう意味で頼長も物語の中になくてはならない存在だといえます。
鳥羽院はどのように判断したらいいのか完全に分からなくなってしまい、得子に自分がまだ白河院の亡霊から逃れられていないということを告白します。自分の体に流れる血が白河院を彷彿とさせるというのです。後から考えるとこの出来事や言動がフラグになっていたのだとわかりますが、このときはまだまだそんなことは分かりません。
迷い抜いた鳥羽院は蟄居している忠盛・清盛のいる検非違使に向かいます。そこでの出来事は本当に緊迫したすばらしい描写となりました。
「神輿に矢を放ったのは、わざとか、それとも手違いか?」
この究極の質問に対して、清盛は手にさいころをぎゅっと握りしめて、考え抜いた結果わざとだと述べます。忠盛も静かにそれを見つめています。このあたりの感情は分かりづらく、視聴者にゆだねられているあたりの演出ににくさを感じつつも、自分もまんまとそれに乗ってしまい「忠盛はどう思っているのだろう」と気になって仕方がありません。
さらに鳥羽院は、「ならそのときのように自分をいってみよ」と述べます。ここでも完全に試されている感がありますが、清盛は鳥羽院に弓をいるふりをすることを決断。鳥羽院は自分から白河院の血が吹き出ていると喜びます。
一歩間違えば、平氏そのものの運命が尽きてしまうばくち的な状況下で、見事正解を導いたのは、忠盛曰く「清盛はばくちがうまいな」という一言に尽きるのでしょう。このあたりの様々なフラグが一つの結論にしっかりと収束する美しさを感じずにはいられませんでした。
そういう意味で、今回の内容はしっかりと計算し尽くされた物語であり、用意された敷石を確実に通ることによって、平氏の運の良さを演出することに成功しているのです。次回は家盛が反乱を起こすようですが、なんとなくうまくいかないような気がします。
きっかけの描写もかなり薄いことから、次回でこの反乱も終わってしまうのではないかと予測しています。それがどうなるのか、楽しみにしたいと思います。
◆清盛紀行◆
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