あしたまにあーな

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平清盛 第47回「宿命の敗北」

2012年12月 02日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

残りもわずかになり、来年の主人公である綾?はるかさんが様々な番宣で登場し始める昨今、物語の主体は平氏から源氏に明確に移動するようになってきました。平氏の面々は意図的に弱そうな感じの演出になり、中でも今回総大将に命じられた維盛は、戦になれていないばかりではなくプライドが強く命令を出しまくって、遊女を使って武士の士気を高めようとする前代未聞な状況してしまいます。結果として水鳥が飛び立つ音に驚いて撤退することになります。

後に、死を覚悟で忠清が述べ言葉が強烈に耳に残っています。たった一言で物語に重みをくわえ、全体の流れを示唆することができる藤本隆宏さんの演技は見事としか言いようがありません。彼が述べたのは「平氏はもはや武門ではない」ということ。時代の流れは着々と源氏に向かっていたのです。

その中で、もう一つ明確になったことがあります。「自分は父の悲願である武士の世をつくらねばならない。そして福原に内裏をつくり、自分の血を引く帝をたてて政をおこなうことを、友である義朝の子に見せてやる」というその発言からは、義朝のことが頭から離れず、武士の世の中を作ると誓い合った友人との約束が清盛にはあったことがわかります。

しかし、その方向性は世の中の人々には理解されづらく頼朝も言っているようにこれまで20年もの間何をしていたのだということになってしまっていました。ゴールは国益をあげるシステムを構築することだとしても、それを周囲に説明し納得してもらった上で動かないと、反感を持つ人はいつの時代にもあること。ちょっと残念な気もします。

残り3回で、義経と頼朝の関係、平氏の滅亡、などこれからが本番で最も盛り上がる場面でしょう。もう少しだけこの部分に時間を割いてもよかったのではないかと思いますが、密度の高い内容を期待しています。

◆清盛紀行◆
静岡県富士市
  – 平家越

静岡県清水町
  – 八幡神社

平清盛 第45回「以仁王の令旨」

2012年11月 18日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

来週から始まる決戦を前に、ほんのちょっとだけ狭間の回になった今回のポイントは、なんと言っても平家の没落でしょう。顔も急激によぼよぼしてきて年齢相応になった清盛の前には白拍子が次々とやってきます。まずは祇王と祇女。この2人の舞に清盛は心が奪われ、見た目的には完全に若い子で遊ぶ老人という状況になってしまうのですが、周囲はそれにも何らかの意図があるとか、過去の人物への弔いだとか、様々な意味を持たせようとしているのが興味深いところでした。

傍目から見れば、全国から搾取した財力を自分の為に使い贅沢三昧以外の何者でもありません。武士の世の中を作り出しとしても庶民の生活が苦しくなるばかりで先が見えないのであれば、支持は広がらないばかりでなく下がる一方なのは今も昔も変わりません。次の登場した白拍子である仏御前と呼ばれる人に対してものめり込んでしまう清盛。暗闇の中にあるというナレーションでしたが、贅沢を追い求めているだけなのか、新たなる悩みを持っているのか、今いち分かりづらい局面となりました。

演出としては、没落する平氏VS立ち上がる源氏を大いに盛り上げたいのでしょう。今回はとことん、平氏の落ちぶれざまが描かれます。上記のように清盛の言動はもはや自分勝手であり、力で全てを押さえ込もうとする暴君になっていました。都では平氏の棟梁となった宗盛も、いざというときに決断することが出来ずあたふたし、普段は宴会をしまくるというていたらくぶり。もはや実戦能力は皆無でしょう。仲綱の馬の一件が決定打となって、平氏に仕える源氏は心が離れていきます。

それに対して、源氏は義経も頼朝もきりっとしていて、いかにも平氏を今すぐにでも倒してしまいそうな雰囲気を醸し出しています。特に神木隆之介さんが演じる義経は聡明かつ謙虚で最高の人物。もはや平氏が倒されるのは時間の問題といえます。かくまっていた藤原秀衡も期待を寄せます。京本政樹さんが登場するとどうしても雰囲気が仕事人的なものになり、アイシャドーなどがものすごく京本さんに似合っていて思わず引き寄せられてしまいます。これからも登場してくれることを願ってやみません。

これから源氏が挙兵することになるのですが、その挙兵が以仁王の命令によるものであったということが少し引っかかるところです。世の中はすでに武士が頂に立つ世の中であり、下手をすると昔のように再び王家の世の中に戻ってしまいかねません。いかにも悪者そうな八条院暲子がいる限り、以仁王も源氏も浮かばれないと思います。後世は既に周知の事実ではありますが、どのように変遷していったのか、それをしっかりと次回以降見届けたいと思います。

◆清盛紀行◆
岩手県平泉町
 - 金鶏山
 - 義経堂

平清盛 第44回「そこからの眺め」

2012年11月 11日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

今回は、珍しく頼朝のハッピーシーンから始まります。娘を抱きかかえ政子と共にラブラブな毎日を過ごしています。こんな緩みきった表情の頼朝に対して北条時政は、「平家の世の中は続かない。頼朝に、そして源氏の魂に賭けてみようと思う」とおっしゃいます。今後はそういう場面もきっと出てくるのだと思いますが、残念ながらこの時点でその状況を思い描くことはできません。

回を重ねる毎にどんどん悪みを増していく藤原基房を演じる細川茂樹さん。今回はとうとう盛子の病死と共に藤原摂関家に領地を戻すことに成功し、これからいい感じになって行くのかなと思いきや清盛にぼこぼこにされ、どうやら失脚してしまいそうな勢い。次回以降は登場しないのでしょうか。また一つ楽しみをなくしてしまいそうで残念でなりません。

物語としての大きな流れは変わっておらず、王家、源氏、平氏の3つから成り立っています。源氏は前述の通りラブラブモードだとしても、王家は完全に後白河上皇の独壇場と化しています。危篤状態になった重盛のもとに後白河院が向かって、散々悩みを聞いたあげくすごろくで勝ったら言うことを聞いてあげるなどと大人げない行動にでます。この部分は完全にフィクションだと思いますが、演出上どのような意図があったのか今もよく分かりません。

結果として、過去の清盛との賭けの対象として重盛を使ったことを暴露した後白河さん。笑いながら退場します。これによって、涙ながらに早く死にたいとおっしゃる重盛。この辺りの演出も分かりづらさがありました。結局自分は孤独なのだと悟ったのでしょうか、それとも思うように行かなかった無念さなのでしょうか。おそらくフィクションの場面なので、わかりやすい演出が欲しかったところでした。

次回は、頂きに立った清盛がどんどん人間的に崩れていく様子が始まるものとみられます。そこにも見ていてよかったと思えるような情景が見えることを願ってやみません。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 - 浄教寺