あしたまにあーな

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ゴミと闘うハリウッド

2009年2月 16日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

河川ゴミ
カリフォルニア州ロサンゼルス。映画の都ハリウッドもあり夢のよう場所なのですが、街の様子をよく見てみると至る所がゴミで溢れていることが分かります。

そのゴミをひたすらビデオカメラで撮り続ける一人の男性がいます。その人はビル・マクドナルドさんです。ビルさんは世界的に有名な水中カメラマンでハワイや東南アジアなど多くの場所で美しい写真を撮り続けて来ました。ところが、近年水中で見たものはプラスチックゴミが足にからみついたクラゲや発泡スチロール製のコップを住み処とするタコでした。自分たちが捨てたゴミが遠く離れた海洋生物の命を脅かしているのです。

このロサンゼルスという街は、特殊な地形によってゴミ問題になりやすい場所なのです。人口約1600万人のロサンゼルスで、海に流れ込む主要な川はロサンゼルス川とサンガブリエル川の2本しかありません。余り雨の降らない春から秋にはゴミが川や水路に溜まり続け、嵐が襲う冬がやってくると大量の雨がそのゴミを一挙に海に押し流すのです。その押し流すゴミの量は3日間で25億個、重さにしてなんと60トンもあるといいます。ロサンゼルス川は、護岸工事が行われていて周りがコンクリートで覆われているため、河口まで一気に流れていきます。

そんなゴミをレニー・アーキンストールさんは黙々と回収しています。それを時々役所に引き取ってもらっているのです。レニーさんはブームというゴミをせき止める道具を使って一人で年間70トンものゴミを回収しているのです。その働きからレニーさんは市から川の管理を委託される存在でもあります。サンガブリエル川はかつてひどい状態だったのを、レニーさんは一人で片付け続けました。そうしていくうちに、たくさんの鳥や植物がいることに気づき、こんなに美しい場所なんだと分かったときやれるところまでやってみようと思ったそうです。その成果なのか、一時期絶滅が危惧されたブラウンペリカンもレニーさんの近くに寄り添います。

ロスセリトス湿原をかかえるこの地域を含め、かつてロサンゼルス近郊はすべて湿地帯だったのですが、今やその95%が失われていると言います。その川上にあるロサンゼルスの街で、ゴミの問題について市民に聞いてみると、「レジで出てくるのだから減らすことなどできない。分解されて土にかえるようなものを作ってくれればいい」「ゴミ箱にきちんと入れるよう指導するべきだ」など、まるで他人事のようなことを言う人までいます。
ロサンゼルスの街では、ゴミは半分自動的に回収され資源の再利用などは考慮されていません。毎日1000台以上のゴミが1箇所の処分場に運ばれ、そのまま埋め立てられているのです。

このような状況に対してシュワルツェネッガー カリフォルニア州知事は、大胆な取り組みを開始しました。海に流出するゴミを500億円かけて10年間0にしようというのです。これからその成果が問われていくことになるでしょう。

さらに市民レベルでも取り組みが始まっています。サンタモニカ高校環境部の学生達が、レニーさんやビルさんからゴミの問題についてレクチャーを受けます。ビルさんは、生態学よりこの場所で起きていることを肌で感じることが重要だと言います。その話を受け、サンタモニカ高校の生徒達は、ゴミを体にまとったキャップウーマンになってサンタモニカ市議会に乗り込みます。さらに街中をデモ行進し、レジ袋を使うのは止めようと呼びかけるのです。

レニーさんは、清掃作業がいずれはしなくても良くなる日が来るのを夢見つつ作業を続けます。このゴミ問題はアメリカだけの話ではありません。私たちに一体なにができるのでしょうか。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2月15日


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温泉の謎 江戸の知恵

2009年2月 09日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

別府温泉
日本には約28,000箇所もの源泉が存在し、そのほとんどが手つかずの状態で眠っていて、世界でもトップクラスに入る源泉数を誇っているといいます。まさに”秘湯”がまだまだ数多くあるということなのですが、その秘湯を探し求めている人の一人が温泉研究家そして秘湯ハンターの郡司勇さんです。郡司さんは数多くの著書もある方で日本中の温泉を巡り歩いてます。温泉は大地からの恵みであり、日本人で良かったと思える瞬間だと郡司さんは言います。

■世界に類を見ない別府温泉
日本各地にある温泉の中で、独特の特徴がある温泉が大分県にある別府温泉です。別府温泉には、日本に存在する11種類の泉質のうち10種類があるのです。以下に主な温泉を紹介します。

・海地獄: 青色、硫酸鉄を含む
・白池地獄: 白色、重炭酸カルシウムを含む
・血の池地獄: 赤色、酸化鉄を含む

色々な泉質がある温泉は世界広しといえども別府だけなので世界遺産に匹敵するといっても過言ではないと郡司さんは説明します。この別府地獄だけでなく、山奥には黄金色の温泉もあります。泉質は硫酸塩泉で薬のような味がする温泉です。これも秘湯ハンターの郡司さんにとっては外せない秘湯の一つです。もともと別府の温泉は全て同じ地下水を源としているのですが、それは地上へと吹き出す経路が分岐していくうちに様々な鉱物資源に触れていくことによって、吹き出す場所によって実に様々な泉質へと変化しているそうです。その吹き出し場所が5km四方に固まっているのですから不思議な地形といえるでしょう。

■別府で作る古のミョウバン作り
その温泉からとれるものの一つとして、湯の花です。草津温泉を始めとして多くの温泉で採取されている湯の花は入浴剤として使われます。その作り方は、温泉のお湯から沈殿物として取り出す方法が一般的で、草津温泉では湯の花畑が有名で木の筒を温泉が通っている様子を見ることができます。

しかし、別府温泉ではこの沈殿させる方法ではなく温泉の噴気と青粘土を反応させて湯の花を生成しています。青粘土の上を踏みつけ1ヶ月程度で湯の花がそのうわべに出てくるそうです。このように手間暇かけて作られる理由は、湯の花を入浴剤以外に別な用途に使用しているからです。それはミョウバンの結晶を生成すること。江戸時代から既にこの別府温泉で作られていたもので、染料の定着剤や止血剤、漬物の染色に使用されています。
また、世界中でもミョウバンが注目されていて、ベトナムのメコン川流域の村では川の水にミョウバンを入れています。ミョウバンを入れるとみるみるうちに水中の汚泥が固まり沈殿していきます。これによって、綺麗な水を飲むことができるのです。(ただし、使いすぎると健康への影響も懸念されることから適切な利用が必要です。)

この別府のミョウバン作りですが、秘伝中の秘伝であることからその生成方法が文書として残されていませんでした。別府大学の恒松栖先生は、科学的に合成するのであればたやすくできるのですが、なるべく原点に近い方法で生成してみたいということで、3年間ずっと研究していました。

古文書「豊国紀行」には、灰汁が使われていたと記されています。その灰汁が何の木から作られるか具体的に書かれていないのですが、別府にとある多くの木が搬入されていた事実があることが分かりました。その木が「ハイノキ」です。このハイノキはアルミニウムが多く含まれていて、燃やすと全てがハイになります。湯の花をこのハイノキの灰汁で溶かし、煮詰めればミョウバンができるのではないかと恒松教授は考えます。実際にやってみると、綺麗なみょうばんの結晶ができていました。失われた技術が復活したのです。

日本は世界に類をみない温泉天国です。至るところにある温泉をもっと有効に活用する方法が他にもたくさんあるのではないでしょうか。例えば温泉を使った地熱発電として宮城県の鬼首地熱発電所があります。日本の地熱発電の全発電に占める割合は0.2%であり、潜在的な能力はその1000倍以上もあるといわれています。うまく温泉の地熱を利用できるといいのですが、その一方で地熱発電によって温泉の湯量が減少してしまうのではないかという懸念もあります。そういった問題があることを考慮して、これまでの温泉に影響を与えることなく地熱を有効利用する仕組みが今、求められていると思います。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2月8日

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アラビア竜血伝説の島で起きた異変

2009年2月 02日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

竜血樹
中東にあるイエメン共和国。ここは海のシルクロードの要所として遙か昔から栄えてきました。このイエメンに、シンドバッドも立ち寄った場所があり、そこには竜の血でできた宝石「シナバル」があるとされてきました。その場所が、ソコトラ島です。

このソコトラ島には、ボトルツリーと呼ばれる瓶のように膨らんだ幹と可憐な花が咲く植物が生息し、砂漠のバラ”デザートローズ”と言われています。このように水分をためる太い幹をもった植物が数多く存在し、この島は植物のガラパゴスと呼ばれるほど植物の楽園が広がっています。

竜血樹もそんな植物の一つで、この木こそ冒頭に紹介したシナバルの秘密を解き明かす鍵をもっているのです。その竜血樹の森が広がっているハグハル山脈の麓にあるシュバホン村。ここは、年間降水量が250mmと非常に少ないにもかかわらず、竜血樹は立派に育っています。

海からの湿気のあるモンスーンが、ハグハル山脈にぶつかってその麓にあるシュバホン村は深い霧に包まれます。これが竜血樹を育んできました。竜血樹の不思議な形は、樹冠で霧を水分に変えて地面に落とし、それを樹が吸収しているのだと言われていてその形には理由があったのです。

その竜血樹の幹から村人であるアブドラ・サードさんが削りだしているのがシナバルです。赤い宝石の正体は竜血樹の樹脂だったのです。このシナバルは古くから万能のクスリとして消炎や止血に、そしてニスとしても利用されてきました。その歴史は古くローマ帝国や中国でも利用されていた記録が残っています。

当然、シナバルは貴重な現金収入の元になり乱獲になってしまう危険性もあるのですが、シュバホン村には大切な掟があります。それは、樹脂を取ったら2年間はその木を休ませるというルール。これによって、乱獲を防いで来ました。

ところが、ソコトラ島での均衡を崩してしまった出来事が2008年に起こりました。それは、ソコトラ島の豊かな自然から2008年7月に世界遺産に登録されたこと。それと共に世界中から多くの観光客が訪れるようなりました。

島の中心街などで多くの観光客がシナバルを様々な理由で購入することによって樹脂バブル状態になり、それと共に売り手が急増して、供給過多によって仕入れ値の減少を引き起こす結果となってしまいました。村の中にも掟破りがいるのではという疑いが生まれ始めます。

そうやって村人が議論している間に、事態はより深刻な状況へと進んでいたのです。なんとこれまで稼ぎのもとであった竜血樹が次々と枯れ始めてしまったのです。村人であるアブドラさんは、「太陽が沈んでいく・・・竜血樹が枯れていく・・・・」と嘆きの歌を歌います。まさに村人にとって危機的な状況に陥ってしまったのです。

この問題に対して、ソコトラ環境保護期間(EPA)のナディーム・タレブさんは、村に霧が減っているのが原因だと指摘しています。桐が減ってしまった原因は、地球温暖化でした。村の地表温度が上がり、上昇気流が発生してしまったため、山脈のはるか上の方で霧が出るようになってきてしまい、その結果として竜血樹が水分を吸収することができなくなってしまったのです。

このままでいくと、あと30年で消えてしまうでしょう。それを早速ナディームさんは村の人に伝えます。これまで地球温暖化について考えたこともなかった村人は、深い悲しみの中で「変わりになる樹なんてないんです。」と訴えます。このままでは子や孫の時代に竜血樹が消えてしまいます。アブドラさん達は、早速竜血樹の苗木を植えることにしました。

世界遺産登録によるシナバルブームも、環境問題が解決されて初めて成り立つこと。日本からはるか離れたこの場所へも、自分たちは大きな影響を及ぼしているのです。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2月1日

旅行人 2005年冬号 イエメン 徹底ガイド完全保存版 旅行人 2005年冬号 イエメン 徹底ガイド完全保存版
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佐藤寛/小松義夫

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