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平清盛 第21回「保元の乱」

2012年5月 27日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

間違いなく前半の最大のイベントである保元の乱が始まりました。今まで歴史の勉強をしていた学生の頃まで保元の乱について、あまり詳しく知らないまま来てしまったことが残念でもあり、逆に様々なことが新しい発見となることが嬉しいことから、どんな感じだったのだろうと興味津々で始まりました。前回くらいから話の内容がしっかりとしてきていて、保元の乱自体もしっかりと描いてくれるだろうという期待が高まります。

今回の戦は平氏と源氏にとって一族を二分するかのような状況の中で、それぞれがどのように思いながら戦っていくのかということでした。大きな話題になったのが、源義朝と為義の親子、平清盛と忠正のおじの関係、正清と通清の親子といった3組。保元の乱自体はほとんどこの3組の状況について繰り返していくことで展開していきます。

なので、保元の乱全体について語られることはあまり多くなく、個別のそれぞれの戦状況に終始してしまったような気がします。ここは語りである頼朝役がしっかりとサポートしなければならないところではありますが、実際には役者の力の方が大きかったということなのでしょう。

先ほどの3組の戦が開始され、それぞれの思いが映し出されます。結果的には、それぞれが戦いながらも決着をすることはありませんでした。直接命を奪っていたらもう少し今後の心模様にも変化があったのだと思いますが、勝敗が決まったあとに、また一緒にやろうという流れになるだろうなと思ってしまいます。これが次回への伏線となっていくのですが、ここではまだわかりません。

頼長と信西という参謀の戦いでもあったこの戦、同じ兵法でも解釈の仕方によってこんなにも変わってくるんだなと感じます。夜討ちを恥ずべき行為とするか、勝利のために最善の道を選択するのか、非常に難しい問題です。礼儀や威厳を保つ上で恥ずかしい行為をすることがNGだと考えがちなのですが、信西たちが決定した夜討ちという手法によって、結果的に勝利を得るためにいかに戦うかということが今後の戦の中で根本的な考え方になっていったのではないでしょうか。そういう意味で、非常に重要な戦であったと思います。

次回は、敗北者になった崇徳上皇側の処遇についてになります。負けた方は基本的に何でも受け入れなければならない状況なので、苦しい場面になると思いますが、静かに見守りたいと思います。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 高松神明神社
 白河北殿跡

平清盛 第20回「前夜の決断」

2012年5月 20日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

視聴率に悩むといわれる本作品も、前回までのようなドロドロした王家の争いから一転して戦を通じてその主導権を明らかにしようという非常にわかりやすい展開に移行していることから、見やすくなったのではないでしょうか。細かい部分を指摘し始めるときりがないので、割り切って楽しむほうがいいのかもしれません。

後に保元の乱と呼ばれる戦に向けて、今回は人々がどのように考え、振る舞ったかを描いています。話がものすごく大きいので、もしかしたら2回に分けてもよかったのではと思うくらい濃い内容となりました。完全に失脚状態にあった左大臣・藤原頼長は、いつの間にかナレーションでも悪左府と呼ばれるようになってしまい、ちょっとかわいそうな気もします。彼なりに世の中を何とかしようという思いからおこしたことにも関わらず、このように言われるのは心外だったのではないでしょうか。

そんな頼長は、同じように失脚状態にあった崇徳上皇に近づいて、なんとか盛り上げようとします。この組み合わせは非常に分が悪いですね。手を組んだ二人がどちらも失脚している者同士なのでまともに考えれば、こっちの方に寄ってくる人というのは、表舞台で快く思っていないサブ的な存在といえます。相当の武力を保持している人を味方にしない限り戦況は悪くなってしまうことが想定されます。

そんななか、平氏がどちらに付くのかがポイントとなるのですが、普通に考えれば今まで親交がある後鳥羽帝に付くのですが、なかなかその立場を明らかにしません。この理由は、双方からくる恩賞の約束をつり上げるためだけでなく、自分の社会的地位を高めることを清盛は話しています。前回から何となく怪しい動きをしていたのがおじの忠正であり、今回も不穏な動きをしまくり。

しかし、明確に反対したりしているかと言えばそうでもなく、ただただじっとその言動を見つめるばかり。この辺りの気持ちは、視聴者に察しろということなのでしょう。頼盛が明確に上皇方に付くことを決意し、はじめは必死に止めていた和久井映見さんも、手のひらを返したように静観をし始め、もはや一緒に戦うことなどできないという状況のなかで、止めに入ったかに見られた忠正おじさんは、にやっと笑って終了。なに?このにやっ、は、と思っていたら、次の瞬間に結論がじわりと判明します。

翻ろうとした頼盛は清盛のもとにもどり、逆に忠正は上皇に味方すると挨拶しているではありませんか。ここでようやく態度が明らかになります。憎まれ口をたたきながらも、どっちが勝っても平氏が存続できるようにという思いからくる動きだったのです。このことを瞬時に見極めたのは棟梁である清盛ではなく、和久井映見さんだったのが残念なところ。こうして黙って態度で示す姿に忠正おじさんの男っぷりを感じました。

次回は、とうとう保元の乱が始まります。結果は史実から分かっていることなのですが、清盛は戦の後、本当に後鳥羽帝の思いとされる「自分のところまで登ってこい」を実現することができるのか、そんな楽しみがまた一つ増えました。まずは、戦の状況を静かに見守りたいと思います。ちなみにちょい役で登場した西行は物語と全く関連がないので、今回は割愛します。

◆清盛紀行◆
愛知県名古屋市
 - 熱田神宮
 - 誓願時
 - 頼朝産湯の井戸

平清盛 第19回「鳥羽院の遺言」

2012年5月 13日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 1 Comment →

後白河天皇が突然誕生し、なぜそのような決断をしたのかを明らかにしないまま、鳥羽法皇は心が穏やかではない日々が続きます。物語の中では、信西の陰謀によって完全にコントロールされたらしいことが説明されていましたが、鳥羽院の口からはひたすら謝罪の言葉しか出てきません。視聴者が知りたいのは、なぜ後白河天皇を選んだのかということなのですが、残念ながら今回話がなかったので、次回以降は闇に葬られてしまうことでしょう。

これによって、一躍権力者になった信西ですが、自分で実権を握ったと述べていることから、自覚は思いっきりあるようで、これから裏でどんどん活躍していくことでしょう。力を握るためにはどんなことでもするという姿は、「宋をお手本にした世の中」を作るという理想からはほど遠いものに見えてしまうのは自分だけではないでしょう。これから、彼に思いのまま操られる人が増加傾向にあるものとみられます。例えば、鳥羽院に忠誠を誓う誓紙を提出するように武士に言い渡し、自分の手のひらで転がそうとしたり、次回以降繰り広げられる保元の乱に向けて色々画策したり。この男をどのように描きたいのか、今のところまだわかりません。

そんな世の中が分裂しそうな勢いの中で、平氏や源氏それぞれで分裂する要素を大いに含ませる内容となりました。まず源氏の棟梁のしるしである友切を奪い取った義朝は、この勢いで完全に父親と決別する動きをします。親や一門を大切にする流れの中で、この動きはそうとう大きなものであったでしょう。さすがにこれについて行けないという家臣は次々と去っていきます。

また、平氏に至っても結束が高かったと考えられてきました。はじめは、、清盛の館に時子の妹・滋子がやって来て、成海璃子さんがぶいぶい言わせて「私、好きな人とじゃなきゃ結婚しないの」と今時な台詞をおっしゃった後、あっかんべ―するなどもはや大河ドラマの内容とも思えない振る舞い。ちょっとびっくりしました。

こんな仲良い一門ですが、火種になりそうなのが忠正と池禅尼さん。この2人はちょっと怪しいフラグが立っていて、平氏の中での打ち合わせの後に、池禅尼さんが忠正を呼び止め、「何かあったら、忠盛の遺志をついで平氏一門を導いてほしい」と言っています。この何かあったらというのはどういうことなのか全く不明ですが、清盛を差し置いてこの指示はちょっとあり得ません。この先、きっと彼らは平氏にとって分裂の要素となることを明示的に示しているものとみられます。わかりやすいんですよね、このドラマでのフラグって。

色々と上皇と法皇の関係をもう一度結ばせようとする清盛ですが、最後の最後にそれは逆になり、法皇を訪れる上皇に対して剣を向けるというあり得ないシチュエーションの末、「ちょっと遅かったな、オレはもう法皇側につくと決めたんだ」という思いから上皇を追い返します。さっきまで仲直りしてよ、と言われていたので、それを真剣に聞いて、父親のもとに行ったのに、手のひらを返すようなこの仕打ち。この上皇はこういう役回りなのでしょうか。井浦新さんもつらい状況でしょうね。この人が笑っている姿を見たのは、もう随分前のような気がします。

さて、次回はとうとう戦の前触れ。義朝が願っていた世界です。どっちに付くことによって自分、そして一門を反映させられるか、その勘どころと度胸が勝負となります。色々と視聴率が低迷していたり、脚本が怪しいと言われたりしていますが、自分は大河ドラマがやっぱり好きなので、この時間を楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 -鳥羽離宮跡
 -安楽寿院
 -安楽寿院南陵
 -安楽寿院陵