あしたまにあーな

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平清盛 第24回「清盛の大一番」

2012年6月 17日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

今回はすでに過去の人になってしまった井浦新さん演じる崇徳上皇が讃岐に流される場面から始まります。いつもながらに憂いを感じさせる表情を浮かべていて、彼がそれ以外の表情したことがあるのを思い出せないほど、完全に似合っています。そんな崇徳上皇を見送るのが西行でした。歌をおくる西行に、崇徳上皇は涙を流すのですが、様々なところに登場する西行の不自然さが際立っていました。

そんな中、政治の世界の中心では、信西が確実に実権を握りそれをサポートする清盛という構図ができあがっていました。後に義朝が清盛に忠告するのですが、今は信西に利用されているだけで、いらなくなったら捨てられてしまうという不安は、清盛にもあったのだと思います。それでも、後に来るであろう武士の世の中を作り上げるために、自分の地位や財力などの地盤を固めるためには、必要不可欠な動作だったのです。

そのことについては、あまり多くを語ることをしない信西と清盛ですが、義朝にとっては実際に虐げられていると感じてしまうのは無理もないことでしょう。きっと信西としても何らかの思いがあったのだと思いますが、それが上手く伝わらなかったのか、それとも制御がうまくできなかったのかわかりませんが、今後は対立することになって行くのは、すごく自然なことだと思います。

義朝のつらさが本当に心苦しくて、なんだかお父さんの苦しみと同じような気がしてなりません。殿上人になっても、父親と同じように平氏に対して劣等感を感じながら生きる姿を見ると、改善したのかどうか分からなくなっていきます。今後は、活躍することになるのですが、それはもっともっと後の世界のこと。

それと比べて清盛の活躍は、どんどんエスカレートしていきます。手始めに太宰府に行って租税を多く集める仕事に取りかかります。この辺りの手法は、長男・重盛の結婚の際にもあったのですが、「いいから黙って従え」というもの。大宰府役人の長・原田種直に対しても自分についてくれば、いいようにしてあげると兎丸を使って半ば強引仲間に引き寄せます。原田種直も何が何だか分からないけど、この人に逆らってはまずいと感じたのか、それを受け入れた様子。この後、大宰大弐に清盛が任じされることになるので、結果的には逆らわなくてよかったということになります。

今は、源氏は義朝の冷遇や由良の病気など圧倒的に不利な状況で、王家でもがんばって得子さんが自分のもとに実権をもってこようと頑張っていますが、かつての権威もなくなんだか寂しい限り。信西と清盛の絶大なる力の世界はまだまだ続きそうです。こうなると、絶対にそれをよく思わない人が登場し、再び戦乱になっていくのです。そうさせないためには、封じ込めるだけの絶大なる力と権力、そして法律が必要になるのですが、それがどこまで整備されるのかが、次の戦乱の有無を決めることになりそうです。

清盛にとってのおもしろきこと、世をかえるという大きな野心は、本格化してきて物語としても魅力的になって来たのではないでしょうか。それとともに、視聴率が上がっていってくれると本人たちのモチベーションも上がって、視聴者としてはいい演技を見ることができて一石二鳥なのですが、そううまくいってくれるかどうか、視聴率とともに次回を楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
福岡県太宰府市
 - 太宰府政庁跡
 - 大宰大弐
 - 太宰府天満宮
 - 平重盛の墓

平清盛 第23回「叔父を斬る」

2012年6月 10日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

前回から引き続き、保元の乱の戦後処理についてで、内容的には前回で既に分かっていたとおりになりました。大切なのはその「瞬間」をどのように演出していくのかということに注目していました。

まず始まりは、忠正と為義両方がどのように過ごしていたかですが、どちらも自分が今後どのような沙汰を受けるかが分かっていたようで、まったりとぼーっと過ごしていたように思えます。事実として清盛や義朝に事実を言われたり、言動で示された時にも平然と受け止め、自分がそれぞれの一門を反映させるために、必要な死だと明言しています。ここまで覚悟が座っているようだと、もはや説得するという次元ではないことが分かります。

素晴らしい演出だったのは、忠正と清盛の三男・清三郎のやりとり。忠正はそれまで十分な時間があり、わらじをいじっていたにも関わらず、その前に約束していた竹馬の作成を完全に忘れていたようで、何も知らない清三郎は「約束していた竹馬はどうした?」と催促します。これに対して忠正は戻ってきたときに作ってあげると新たな約束をするのですが、感動的な場面であると同時に、これが本当であれば清三郎は後々ものすごく引きずることになりそうです。この後何らかの心の傷が清盛自体に向かないことを祈るばかり。

そしてとうとう斬首をする刻限。この辺りは、完全に予想通りのやりとりだったのですが、予想外だったのが清盛は忠正を切ることができたのに対して、義朝は為義を切ることができずにただただ泣くばかり。この状況をつぶさに見ていた鬼武者は、父を助けようと元服することを進言し、頼朝が誕生します。

もう一つ意外だったのが、それぞれの処刑場に、西行と鬼若が隠れて見ていたこと。この二つのシーンを完全にシンクロさせようとしたい制作者側の意図がまったくわかりません。台詞や登場人物に類似を求めることによって、何を伝えたかったのでしょうか。誰か偉い人に教えてほしいです。

全てが終わった後に、信西は藤原師光を通じて今回の本当の思いを自分たちに伝えてくれています。本当は自分も斬首をするというところまではいきたくなかったのだけど、藤原摂関家の力を弱めるためには、その部下であった為義を処刑する必要があり、そこに意味を持たせるためには、平氏や源氏といった境界をわけることなく、両方に沙汰を下す必要があったということ。信西は何も言わずにただ涙を流します。

この思いを、後に清盛に語っていて、新しい世の中を作ろうと話をします。この「新しい世の中」という言葉は、様々な場所で登場するし、後白河天皇も話をしていますが、具体的にどのような世の中が新しく、今の世の中の何が悪いのかよく分かっていないので、イメージがわかないんですよね。まるで現代の政治の世界に通じているところもあります。そのあたりの背景は自分で勉強しておいてください、という宿題を自分たちに課しているのかもしれません。

最後は、清盛が平氏は一蓮托生であることを声高に一門に伝えるのですが、このシーンもどこかで見たことがあるような気がします。おじさんを斬首するというものすごくインパクトの大きいことをしたのですから、その後のメッセージはもっと感動的にしてほしかったなというのが、ドラマ視聴者としての思いでした。

次回は、信西がどんどん自分が目指す政治を実行していきます。その中で武士がどのように活躍していくのか、その片鱗が見えたらいいなと思います。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 - 左女牛井之跡
 - 船岡山
 - 源義朝の供養塔

平清盛 第22回「勝利の代償」

2012年6月 03日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

前回で終了した保元の乱のその後についてが今回の内容となりました。自分のなかでは、ある程度予想通りの展開であり、それと共にその先の展開もある程度想像がついてしまったような気がします。

まずは、完全に不幸の象徴として常に悲しい顔をしている井浦新さん演じる崇徳上皇ですが、守る武将に逃げるようにいい、自分はこれまでのうまくいかない世の中に涙を流します。同様に藤原頼長も父親を頼って逃げるのですが、門に入れてくれずにその前で舌を切って自害することになります。最後の清盛紀行によると、最期を遂げたのは興福寺であったとありますが、この辺りの事実関係が若干怪しいものがあります。

この二人は、何とかこれからも自分が生きる道を探そうと必死になるのですが、結果としては流罪と自害という悲惨な結果に。自分たちで刀を向けたのですから、負けたという事実の前にどうしようもない結論ではあります。信西や後白河天皇が判断したこの結果は、至極当たり前のことであったと思います。

それに対して、武士方ですが為義と忠正が残党狩りを避けてそれぞれ源氏と平氏のもとに捕らえられます。こうなっただけでも不幸中の幸いではありますが、自分の手元にかけがえのない人物が戻ったのであれば、人としてその命を守りたいと思うのは当たり前のこと。それまで清盛や義朝は探すことなどしないと言っていたにも関わらず、実際には情がどうしても出てしまうようです。

しかし、この辺りは前回からそうなるだろうなと思っていました。そしてここに繰り広げられる人間模様が涙ながらに語られるということも。実際、極刑が下され、実行されるのは次回のことのようですが、完全にそうなるフラグが至る所に立ちまくりでした。

為義は、由良御前から食事の差し出しを頂き、そこで義朝が殿上人になったことを知って静かにほほえみながら満足そうな表情を浮かべます。きっとこれからの源氏の安泰を想像したのでしょう。同様に、忠正は落ち武者的な格好で登場するも、清盛になくてはならない存在であるといわれ、落ち着きを取り戻します。しかし、子供達の竹馬を見ながらも、自分の死期が近づいているのを感じていたことを表情から醸し出していました。この辺りの微妙な演技が豊原功補はうまいです。思わずこちらまで心が苦しくなるほどの表情は、彼ならではでしょう。

次回は、その続きです。今回ネタが完全にばれてしまっていることと、サッカーの日本代表試合の関係で、ここ数回の視聴率が本当に厳しくなりそうですが、それにもめげずに頑張ってほしいと思います。

◆清盛紀行◆
京都府宇治市
 - 宇治川

奈良県奈良市
 - 興福寺

京都府京都市
 - 相国寺