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脳科学理論に見る集中力を増す3つの方法

2010年2月 14日 By: rainbow Category: ビジネス No Comments →

日本大学総合科学研究科の林成之教授は、水泳の北島康介選手が北京で金メダルを取るため精神的な教えを行なったひとりとして有名です。あらゆるスポーツ、そしてスポーツに関わらず仕事の世界でもメンタル面は非常に重要であり、いくら実力があってもそれを引き出すことができなければ、外からは実力がないものと見なされてしまいます。そんな専門家である林先生は、ここぞという時の集中力を高めるために日頃から3つのことを強く意識して実行するように勧めています。それを意識することによって、自分が今まで為し得なかった高いレベルの達成を得ることも可能だというのです。そこで今回は林先生の言葉をもとに、脳科学理論の観点からどのように集中力を増すことができるのかについて考えてみたいと思います。

◆ゴールを決めない
人間には自己報酬神経群というものがあるそうです。ここは「自分へのごほうび」をモチベーションに働く部位で、この部位が活発に働かないと脳は活性化しない重要な部分になります。注意すべき点として脳の世界ではご褒美をもらえたという結果によって神経が動くのではなく、ご褒美をGETできそうだと期待することによって神経が動いてしまうのです。この自己報酬神経群が働くことによって脳の機能は低下してしまうと林先生はいいます。そこで、ゴールをもっと実際とは遠くに設定するといいでしょう。これによって、自己報酬神経群を活性化することなく目的を達成することができるのです。

◆コツコツやらない
これもインパクトのでかい言葉ですが、「コツコツやって何が悪い」と感じる人も多いでしょう。ここにも林先生の思いがけない考えが詰まっています。

脳には「自分を守りたい」という自己保存本能があります。これは根源的な脳の3つの本能である「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」のうち、「生きたい」という本能からくるものになります。コツコツ努力するというのは一歩一歩着実に努力しようということで、この言葉の背後には「失敗しないよう慎重に事を運ぼう」という意識が隠れています。失敗してしまうと自分が守れなくなってしまうので失敗したくないのです。人間としては当たり前の感情でしょう。

しかし、この「失敗するかもしれない」という否定語はこの自己保存本能に過剰反応を起こさせて、脳の働きにブレーキをかけてしまうことから、コツコツやるという人は、自分が現在持っている以上の力を発揮することが難しいというのが林先生の考えです。逆にとても到達できそうにない目的に向かって一気にかけ上がろうと考えると、脳は信じられないほど高いパフォーマンスを示してくれるのです。アスリートは会見でも「まだまだ課題がある、努力が足らない」というのはこの考えを徹底しているからともいえます。

◆結果を求めない
脳は先に紹介した脳の3つの本能に逆らって行動しようとすると極端にパフォーマンスが落ちるといいます。「敵」や「結果」にこだわることによって3つめの本能である「仲間になりたい」という本能と逆の「敵に勝つ」という考え方になってしまいその結果、自分の目標を達成することが出来なくなってしまうのです。このように人間は結果を求めると、持てる能力を十分に発揮することができなくなってしまうのです。敵も自分の目標を達成するための道具でしかなく仲間なんだと思い、目標を達成するためにはそこに行き着く方法にこだわるのです。

こうして結果を求めず、そこに行き着く方法を損得勘定抜きに全力で取り組むことによって人間は信じられないほどの集中力を発揮すると林先生はアドバイスしています。

北島選手に限らず、プロ野球選手、陸上競技の選手、スキー選手など多くのアスリートがここぞという集中力を発揮するために努力していることは、高い目標を掲げ、そこに行き着く方法を着実にこなしていく姿に他ならないのです。自分たちの目標達成にも多くの場面で応用することができる考え方なのではないでしょうか。

【参考】PRESIDENT 2010年2.1号

起業家大学ベストセラーズチャンネルシリーズCD ビジネスに生かす勝負脳編 vol.1~vol.4セット 起業家大学ベストセラーズチャンネルシリーズCD ビジネスに生かす勝負脳編 vol.1~vol.4セット
(2009/12/01)
林 成之主藤 孝司

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よく耳にする「経済波及効果」とは?

2010年2月 14日 By: rainbow Category: ビジネス No Comments →

バンクーバーオリンピックを契機に再度様々なメディアで話題が上がるのが「経済波及効果」ではないでしょうか。今回のバンクーバーオリンピックの場合、約75億円の経済波及効果があるとされています。では、この「経済波及効果」というのはどのようなものなのでしょうか。何となく高ければ高いほどそのイベントを実施する意味があると考えてしまう数値ではありますが、具体的にどのように算出しているのかについて少し考えてみたいと思います。

オリンピックやワールドカップを開催する場合には、会場となるスタジアム、そこに至るまでの道路、街づくりといったインフラ関連整備費用が掛かります。また街を訪れる人たちは周辺の宿泊施設に泊まり会場に行くまでに食事をしたり交通機関を使ったりします。このようにイベントを開催することによって動く可能性のあるお金の総量のことを「経済波及効果」と呼ぶのです。

考えがちなのがこの経済波及効果をそのまま儲かる利益の量と考えてしまうことですが、考えなければならないのは特定の誰かが儲かるということではなくそのイベントによってどのくらいのお金が動いたのかということ。お金が動けば様々な関係者が潤うことになるので、その量の目安として経済波及効果をみるといいでしょう。

ちなみに日本で行なわれた主なイベントの経済波及効果について以下にまとめてみます。
・大河ドラマの龍馬伝
 長崎に与える経済効果は約110億円、高知県に与える経済効果が約234億円
・横浜開港150周年を記念し開催された「開国博Y150」
 経済効果は548億円
・石川遼
 経済効果は341億円
・地デジ移行
 経済効果は250兆円

大切なことは、予測で終わらせるのではなくきちんと定量的に結果を振り返ること。オリンピック自体が儲からなくても、観光産業やインフラ整備に関わった土木建設産業など全体としてどのくらいの人が雇用され、潤ったのかを見る必要があります。そして税金を使った部分があるのならその設備投資が長期的にどのように地域に行かされていくのかを始まる前に事前に目を光らせておくことが求められるのです。一部の誘致したい人が説得材料として使うのではなく、真の経済波及を生むためにどのような設備をどのくらい投資するといいのか、自分たちも無責任ではいられません。日本でも数年後、夏季オリンピックを誘致しようとする自治体が立候補すると思いますが、そのときこそ経済波及効果が理論的かどうかチェックしていきたいものです。

【参考】シゴトの計画
http://4510plan.jp/360/newscolumn/15347/index.html

自治体の経済波及効果の算出―パソコンでできる産業連関分析 自治体の経済波及効果の算出―パソコンでできる産業連関分析
(2008/02)
安田 秀穂

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サザエさんをちょっとだけ深く考えてみる

2010年2月 07日 By: rainbow Category: ビジネス 1 Comment →

日曜日の夜6時半からのアニメといえば90%以上の方は「サザエさん」と答えることができるでしょう。そのくらい国民的なアニメに成長したサザエさんはすでに放送開始から40年以上を経過しています。この時間になると多くの人が「これで休日も終わってしまって明日から学校や会社だな」と少しだけブルーになってしまう「サザエさん症候群」なる言葉まで登場するほどこのアニメが自分たちのライフスタイルに大きく影響を及ぼしているものは他にはないでしょう。

そんなサザエさんについて、経済的な面から考えているのが有限会社ペーパーカンパニーの中村修治さんです。身近な物から世の中の動向や仕組みがわかると理解しやすいものです。今回は3つの観点からサザエさんを通して考えてみたいと思います。

1.景気とサザエさん
サザエさんは景気を測るための物差しとしての役割を果たしているといいます。景気がいいときは日曜の6時半は外食をしていたり遊んでいることが多いのですが、不景気になると家で籠もることが多くなるので、この時間はサザエさんを見ているというのです。データでみると、以下のようになり3年前から徐々に視聴率が上がっていることが分かります。
・2008/01/13(日) 18.2%
・2009/01/18(日) 20.4%
・2010/01/24(日) 20.6%

2.広告とサザエさん
サザエさんのオープニングを思い出せるでしょうか。始めから最後のシーンまでずっとサザエさんが地方の名物や景勝地を訪ねている様子は、まるで地方の宣伝をしているかのような雰囲気に見えるでしょう。ここ数年では半年に1回年が変わっていくというローテーションで以下のような状況になっています。
・2007年度 愛媛県、富山県
・2008年度 山口県、岐阜県
・2009年度 新潟県、茨城県
実は、この場面は無償でサザエさんが提供している訳ではないのです。市や県が協力費として提供していることが多く、2007年の愛媛紹介では松山市などが840万円。2007年の富山紹介では富山市が840万円。2008年の山口紹介では山口県が630万円を提供していて、700万円?800万円台が中心になっています。しかし、これで半年間自分たちの街が影響のある番組で全国に紹介される訳ですから、コストメリットは十分にあるといえるでしょう。

3.ビジネスとサザエさん
最後に、サザエさんに登場する人について見てみましょう。先に紹介した中村さんは一押しのビジネスマンとして三河屋のさぶちゃんを推しています。彼は米やしょう油などを玄関先で注文を受け取りそれを配達してくれるのですが、サザエさん一家だけでなく、その町内で同じように注文をとっているのだとしたらその売り上げは莫大なものになります。仮に一世帯当たり1ヶ月3万円程度の売り上げだとすると、町内に300世帯であれば900万円を売り上げるやり手の営業マンであることが分かります。きっ三河屋はすごい儲かっていることでしょう。

このように、サザエさんは経済の観点から見ると色々面白いものが見えてくることが分かります。その他サザエさん一家では未だにデジタル機器がほとんどありません。携帯電話はなく黒電話ですし、テレビもブラウン管の古いものです。来週のサザエさんの時に登場するリモコンが一番新しいのかもしれません。もうすぐ地デジ化されてしまうのに、電機メーカーがスポンサーのサザエさんも何らかの対応が必要なのでしょう。しかし、世の中の不景気、状況、文明の進化が入っていないからこそ、人々はこのアニメに癒しを感じ、そして現実からしばし離れることができるのです。その癒しを感じることができる世代は徐々に上がっていっていて、今の学生たちにはきっとサザエさんの面白さは薄れているのかもしれません。

【参考】INSIGHT NOW!
http://www.insightnow.jp/article/4897

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鳥越 皓之

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