内閣支持率の正しい値
2011年9月2日に新しく発足した野田佳彦内閣は、本人の発言からドジョウという言葉を使って表現されることも少なくありません。就任3ヶ月の間はご祝儀とも言われ国民を含めた周囲からは比較的優しく見られます。それは内閣支持率にも表れていて、読売新聞の調査(2011年9月2日から3日に実施)では「支持する」と答えた人が有効回答者数の65%で、内閣発足直後の数値としては、小泉、鳩山、細川、安倍の各内閣に続く高支持率なのだといいます。
◆ 内閣支持率の調査方法
この内閣支持率の調査方法は、もちろん全員から調査をしているわけではなく、1500人前後の回答数をもって世論としていることが多く、支持率を発表する前にどれくらいの対象者にどのような方法で調査をしたのかを示しています。
この1500人という対象数は、「10万人以上(これ以上はいくらでも同じ)の意見を知るためには全体のうち1500人程度の意見を集めればよい」という統計学の理論を使ったものですが、あくまで統計学の世界の話なので当然誤差というものがあります。
◆ 内閣支持率の誤差とは
となると、支持率65%といわれても、一体のどのくらいの誤差があるのか気になるところ。その誤差があまりにも大きいようだと、支持率に対する接し方も変えなければならないでしょう。
しかし、世論調査の結果ではそのような誤差を示していません。なので、自分たちでその値の正確なものはどのようなものなのかをしっかりと把握しておかなければならないと思います。そこで「支持率は65%」と発表された場合、より正確な支持率である「65±α%」のαについて考えて見たいと思います。
◆ 誤差の計算方法
αの部分は、以下の計算式で求めることが出来ます。
α=√(比率×(1?比率)÷有効回答数)×1.96×100
比率という部分に、内閣支持率(今回の例では65%なので、0.65)、有効回答数は調査対象者のうち回答が有効な数(今回の例では1100人)となります。
「1.96」とは、調査の信頼度を「95%」と置いた場合に用いる数値です。信頼度が95%ということは、「95%の確率で誤差が±α%以内に収まっている」ことを知るためのものになります。
早速エクセル等に上記の計算式を入力してみます。
α=SQRT((0.65*(1-0.65)/1100))*1.96*100
=2.818710214
つまり、約3%の誤差であることがわかります。この結果から、支持率調査で発表された「支持率65%」とは、実際には「95%の確率で62から68%の範囲で支持されている」という意味だと読み取ることができるのです。
こうしてみてみると、実に6%もの幅があることがわかり、数%だけ動いただけではこの誤差の範囲のなかに完全に含まれてしまうことから、信用しすぎるのも微妙で、自分たちは「一つの目安」として接した方がいいと考えられます。テレビや新聞の世界には出てこない、このような小さな事でも世論を大きく変えていく力があることから、自分たちはしっかりとした見識を持ちたいものです。
【参考】web R25
迷走日本の行方――内閣支持率70%?!死に至る日本の病と新政権(OAK MOOK 308 撃論ムック) (2009/10/16) 西村 幸祐 |
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