大人数グループの歌手が増えている理由
2010年の音楽の世界で最も急成長したのは、なんといってもAKB48ではないでしょうか。以前から秋葉原を中心に活動をしていたのですが、今年に入ってそのファンの裾野を一般層にまで広げた結果大ヒット曲を連発するようになりました。
その他、今年の音楽シーンを見てみるとEXILEや嵐、Hey!Say!JUMP、NEWSなどグループ歌手の存在が大きいのが印象的です。数年前まで浜崎あゆみや倖田來未など1人で歌う人がヒットチャートの上位を占めていたのと対照的な状況になっているのですが、この数年でどのように変わって行ったのでしょうか。
その1つの答えとして挙げられるのが、当たる確率を少しでも増やすことにあるといいます。一人だとその人のことを気に入らない限りファンになることはありませんが、大人数存在することによってその中に自分が気に入る人がいる確率が高くなり、その人を通じてグループ全体のファンに成長していくことになります。
これは、提供側からみても自分たちの側からみても双方にメリットがあります。AKB48のプロデューサーである秋元康さんは現在最低でも56人、研究生を含めると100人を越える大所帯にしている理由として誰が売れるか分からないからだと話します。成長することによって人気が出る人もいることから、原石をもっている人を全部押し出して磨かれたダイヤモンドを探し出しているのです。
人々の好みが多様化し、昔のアイドル全盛の頃のように国民的、絶対的なアイドルが生まれにくくなってきているという背景もあるようで、大人数にすることによってファンに好みを選んでもらうというリスクの少ないやり方が時代に合っているのも要因といえます。
そんな大人数グループの歌手が昔からいたグループ歌手と大きく違うのは、入り口が歌だけではないということ、典型的な例がEXILEです。演劇や服飾デザインなど様々な分野でも活躍している人が多くいて、逆にそこから音楽の世界を知るという人も多くいるといいます。一人一人の活動の場は広がっていてファンがとっつきやすい分野で歌手に親近感を持つことができるのです。
提供側から見ても、大人数を一気に売り出すことによって一人当たりの単価を抑え、さらに売れないというリスクもヘッジしていることから、投資の世界の考え方が完全に取り入れられていることが分かります。
ファンとしては、そういった歌手によって色々と楽しませてくれるのであれば全く問題ないですし、楽しみも増えると思います。個人的には歌唱力がある歌手というのが望みではありますが。
【参考】日経Plus1 2010/12/11
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