ワンセグケータイにもNHK受信料が必要
NHKの受信料を支払っていない人に対して、NHKは徐々に包囲網を敷きつつあります。最近では、地方裁判所に対して強制執行の申立書を送付したりして、放送受信料の未収者に対する強制執行を行なっています。NHKの受信料については放送法で定められた義務であり、NHKを実際に見ているかどうかに関係なく、NHKを受信できる設備を持っている人は受信料を支払う契約をする必要があります。なので、実際に見ていないから支払う必要はないという論理は成り立たないのです。
受信料の支払いについては、世帯単位なので、自分の家に2台以上のテレビやチューナーつきのパソコンがあっても受信契約としてはひとつで構いません。しかし、会社員の人が単身赴任で家族と離れて暮らす場合や、大学生が下宿する場合でテレビを利用する際には、家族割引があるとはいえ新たに受信契約を結ぶ必要があります。
この仕組み自体は前からあるのですが、ここ最近とある相談が国民生活センターあてに急増しているといいます。それが携帯電話についているワンセグ機能です。このワンセグに対しても受信料がかかるのでしょうか。この課題に対して、国民生活センターには次のような相談が来ているといいます。
◆「ワンセグを持っている」と言ったら契約をさせられた
◆ 独り暮らしの息子が「テレビが受信できるケータイを持っているか」と聞かれ、「はい」と返事をしたら、受信料を払わされる契約をさせられた。息子は、「テレビは見ないから解約したい」と言っている
◆ 公共放送の受信契約を解約したいと思い、事業者に申し出たところ、解約するためにはテレビや携帯電話を処分する必要があるという。本当か
ここでもう一度受信料を支払う根拠となっている放送法について見てみましょう。
【放送法第32条(受信契約及び受信料)】
第1項 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ワンセグケータイは、「協会の放送を受信することのできる受信設備」という内容に思いきり当てはまります。NHKを見ることができる可能性がある受信機を利用している時点で、見ていないからという理由は厳しいでしょう。残念ながら、NHKだけを見れないようにする機能は今のところありません。
ただし以降の文章については少し解釈が必要かもしれません。携帯電話のワンセグは放送の受信を目的としない受信機と言えるのか、さらに音声だけを聞くようになっているか。少しこれを適用するには難しい気がします。
ここから言えることは、携帯電話のワンセグを持っていて、なおかつテレビが家にない人は、受信料を支払う必要があるということです。それに対して支払う必要はないというのは現状では、受け入れてもらうことは難しいでしょう。
現在、電子情報技術産業協会の2010年4月の移動電話国内出荷台数実績によると、携帯電話のワンセグ搭載率は80.7%にのぼるといいます。なかなかワンセグがついていない機種を探すのは大変ですが、どうしても支払いたくないというのであれば、携帯電話の機種に関しても考える必要がありそうです。
【参考】J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2010/05/26067378.html
よくわかるテレビ番組制作の法律相談 (KGビジネスブックス) (2008/03) 梅田 康宏中川 達也 |
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