想像を超える津波の威力
先日発生したチリ大地震に伴う日本への津波は当初の予想である2メートルには及ばず1メートルちょっとで済みました。多くの人が1メートルの津波に対してはあまり強くない津波であると認識しがちですが、実はこの1メートルの津波のもつ威力は想像以上に大きいものだったのです。独立行政法人・港湾空港技術研究所の有川太郎主任研究員のお話をもとに以下に津波による影響を高さ別にまとめてみます。
・20cm:流れの速さは毎秒30cmにもなり、海では遊泳禁止になる水準。海の中にいると流される危険性がある。
・30cm:体重の軽い女性であれば転倒してしまう。
・60?:男性でも転倒してしまう
・1m:厚さ6mmの鉄板が曲がり木造住宅であれば部分的に壊れる
・2m:全壊のおそれがあり、津波がぶつかるときの威力は1平方メートル当たり最大15トンにもなる。
高い波が押し寄せて港などを越えて街を襲うものとして他に高波がありますが、津波と高波では全くその威力は異なります。高波は10mを越えるものがありますが、津波は上記のレベルでも堤防を破壊するだけの威力を持っているのです。これは高波と津波の発生のメカニズムに起因しています。
◆高波
海面付近の水だけが動き波長は次第でも200mほどで波の力はそれほど大きくはなりません。
◆津波
海底から海面までの水が巨大な塊となって押し寄せ、波長は数百kmに達することもあり、強い力が長時間にわたってかかり続けることになります。つまり大量の水が押し寄せてくるのです。
このように津波の高さは1つの威力の目安にはなりますが、小さいからといって決して甘く見てはいけないのです。しかも津波は高さ1mで海抜4mくらいまで侵入することがあり、それが引いていくときには大量のがれきや木材を伴っていくため、危険度も高まるので注意が必要だといいます。なので、できるだけ高い場所へ避難することが必要で、渋滞などで逃げ遅れることがあるのでなるべく車は使わないようにと言われています。
先の警報の時には予想よりも小さかったことに問題視する声も上がっていましたが、今後その精度を上げることは大前提の上で、地形による増幅などあらゆる可能性を考慮して出されていることから小さい結果になったのはやむを得ないと思います。小さい予想で大きくなったというよりは比較にならないほどいいでしょう。自分たちはその大きさが来ることを想定して対策を打つ必要があるのです。
【参考】日本経済新聞 2010/03/07
備えあれば憂いなし!予期せぬ災害に備えて一家に一袋 非常用持出袋
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