時刻表検定のラストラン
今、日本には実に多くの資格試験や検定試験が存在します。ご当地検定など検定ブームの到来によって各地に多くの試験が作られてきました。中には資格を取得することによって就職や仕事の面で有利に働くものもありますが、自分の趣味を追求したいという思いから取得するもののほうが圧倒的に多いのではないかと思います。
そんな検定の一つ「時刻表検定」が2009年11月15日に約10年の歴史に幕を閉じることになります。この検定は時刻表の持ち込みが可能で、列車や駅弁など時刻表に書かれた様々な問題が出され、最も難しい第1種試験では200点満点中180点以上をとると時刻表博士に認定されるといいます。その難しさは半端ではなく、合格率はたったの5%?10%と狭き門になっています。
受検者はこれまで4万人もいて最も人気があった時には5千人以上が受検していたのですが、最近では3千人程度まで落ち込んでしまったことから、時刻表検定協会は打ち切りを決定したそうです。協会の人はインターネットで手軽に乗り換え案内ができる時代になってしまい、時刻表離れが進んでしまったことが要因だと話していますが、時刻表が大好きな自分からみると、時刻表とインターネットの乗り換え案内とではまったく使い方が違うので競合にはなりえないのではないかと考えています。
確かに乗り換え案内は便利ですが、周囲の情報を見ることはできません。一つの答えを出してくれるのですが、乗り遅れたとき、駅弁が欲しいとき、お得なきっぷが欲しいとき、ぶらっと寄り道したいとき、などでは乗り換え案内は非常に使いづらいのが現状です。JRのみどりの窓口でも時刻表が未だに置かれていて、申込用紙を書く必要もあるでしょう。時刻表は、単なる乗り換えを検索するためだけのものではなく、それ自体が巨大な情報をもつ書物なのです。使いようによっては、自分の旅行はすごく楽しいものに大変身させることだってできるのです。時には実際に行かなくても、これまで行った旅行をつなぎ合わせて擬似的に旅行を楽しむことだってできます。
そんな楽しい使い方を知る機会を与えてくれた時刻表検定にお疲れさまといいたいと思います。ラストランとなる11月15日の検定の申込者全員にオリジナル時刻表ブックカバーがプレゼントされるそうです。最後に是非試してみてはいかがでしょうか。
【参考】日本経済新聞 2009/10/18
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