ミツバチ王国の秘密
近年、ミツバチが大量消失する事件が至るところで多発しています。その事件は日本だけではなく世界でも発生していることから、世界的規模で今対策が求められています。原因についても現在様々な説が挙がっていますが、特定には至っていないのが現状です。今回そのミツバチについて、日本と世界で関わる人たちを見ることによって自分たちがミツバチとどのように関わっていかなければならないのか、そして大量死してしまっているミツバチの原因について考えてみたいと思います。
◆セイヨウミツバチの悲劇(新潟県村上市)
新潟県村上市で養蜂を営む人によると、ミツバチに異変が起きたのは5年ほど前からで、ミツバチが大量死するようになり、辺り一面にミツバチの死骸が落ちている悲惨な状況になったそうです。去年の被害は700万匹にものぼるのですが、そのミツバチの種類には共通点がありました。
それはほぼ全てがセイヨウミツバチであったこと。このセイヨウミツバチは家畜化したミツバチで、人々はセイヨウミツバチの受粉を頼りにして100種類以上もの農作物を作ってきました。今、養蜂だけでなく農作物に深刻なダメージを与えています。
◆セイヨウミツバチとニホンミツバチの驚くべき差
日本にも野生のミツバチが存在します。それがニホンミツバチです。ニホンミツバチはセイヨウミツバチと違ってスズメバチなどの強い敵に対しても集団で戦いを挑み勝利をおさめてしまうのです。
藤原養蜂場の藤原さんによると、近年のミツバチ問題の中でセイヨウミツバチとニホンミツバチ両方を飼育した結果、死んでしまう差は10対1にも及びニホンミツバチの方が圧倒的に死んでしまう個体の数が少ないのです。ここには農薬が影を落としています。
ネオニコチノイド系の農薬を使った農作物にミツバチが寄ったときに、セイヨウミツバチはそのまま近寄ってしまうのに対して、野生の蜂で嗅覚に優れたニホンミツバチは、農作物には近寄らずに他の植物を探すことができるというのです。このようにニホンミツバチの危険なものを察知する力はセイヨウミツバチ比ではないと藤原さんは話します。
◆ミツバチとの命をかけた共生(バングラディッシュ・ブリゴアリニ村)
ミツバチは、村人に欠かすことができないものです。ハチミツは81の陽気を治す薬だといわれ、家庭医薬として使われる一方で、貴重な現金収入でもあります。中でも1キロ400円もするコリシャの花からとれたハチミツは特に貴重だといわれています。
この花がある地域には、危険なベンガルトラが生息し年間60人近くもトラに殺されてしまう事故が多発しています。それでも村人は家族を養うためこの危険な地へと足を運ぶのです。ハニーハンターであるダリさんも家族のためにハチミツをとりに危険な森へと出発します。
蜜を吸って体が重くなったハチを追っていくのですがそれが大変です。2人二組でお互いに声を掛け合って、船からも笛で位置を知らせます。河川の5mにも及ぶ満ち引きも大敵です。そんな中とうとう見つけたオオミツバチの巣の大きさは1mを超える巨大なものでした。
この採取を1ヶ月続けると一人5000円ほどの収入になり、家族を2ヶ月は養える金額になります。ダリさんはハチミツをもって、神様のくれた宝物だといいます。ダリさんが船上で歌った歌には少し悲しいけど覚悟を感じることができます。
男ひとり ハチミツを採りに行く
母の面倒はたのんだよ
このように、ミツバチがもたらす恩恵を命をかけて採取するダリさんたちハニーハンターは今も昔も変わらない生活がここにあるという一方で、自分たちの身の回りにあるミツバチは大量死という悲しく危機的な状況に陥っています。
この差がどこにあるのか、今はまだ十分に分かっていませんが、少なくとも日本のミツバチの異変が我々に対する意味のあるメッセージを持ち、何かしらの警告を発しているのだとしたら、ミツバチへの恩返しをするためにもこの声をきく必要があります。誰かのせいにするのではなく、できること、原因と考えられることを1つずつ潰していくことが今、自分たちに求められる行動なのではないでしょうか。
【参考】素敵な宇宙船地球号 2009年6月21日
一切人の手が加えられていない天然の蜂蜜こだわりの蜂蜜(はちみつ/ハチミツ)
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