伝統の技がエネルギー危機を救う
福岡県八女市。この街は今も多くの人が杉と共に暮らす街です。八女の杉は目の詰まっていて肥沃な土地と豊富な雨量に恵まれて育っているので、まっすぐにのび建材としてとてもすぐれていると言われています。
その八女の地で杉の葉を集めているのは、馬場猛さんです。馬場さんは杉の葉を集めきめ細かく粉にしています。この粉は線香になるのですが粉にする動力源となっているのが、水車です。水車は休むことなく15本の杵を動かし続けるのですが、この水車を作ったのは水車職人の中で天才と呼ばれた中村忠幸さんです。中村さんは、八女でも様々な水車を作成していて、その一部である「逆瀬ゴットン館」の水車は今でもその動力によってそばの粉が作られています。
かつて70基以上あった水車も、今ではその多くが電気化されてしまいました。しかし、電気代によって、利益が圧迫されてしまうことから線香作りの馬場さんは老朽化した中村さん作成の水車をリニューアルすることにしました。日本で数少ない水車大工のなかで天才中村さんの後を作るのは、野瀬秀拓さん。
野瀬さんは、カンボジアなど世界中で水車作りを支援する活動を行っている有名な方で、中村さんの弟子に当たる人になります。野瀬さんは、「水車は心を癒すものとして考えられていることもあるが、人の見えないところで動くことが魅力だ」といいます。そんな野瀬さんは、中村さんの作成した水車をリニューアルすることになりました。依頼主の馬場さんからは、板を厚くしてこれまで以上のパワーを出して欲しいという要望が上がります。水車はなるべ軽く作れと中村さんから言われてきた野瀬さんは、困惑しつつも息子と一緒にこの難問に挑んでいきます。
自然はねじ伏せようとすると絶対うまくいかない、うまく利用させてもらう気持ちが大切だということを改めて身をもって感じつつ、作業開始から10日後、とうとう水車が完成しました。
水車で重要とされる羽根の角度も十分に検証し、以前よりも120kg重くなってしまった水車が果たして動いてくれるかどうか心配になりつつも、とうとう水門が開かれ勢いよく水が水車に向かって流れてきます。そして見事に水車は回り始めるのでした。回ったときの喜びは格別のものがあるそうです。自分も見ていてドキドキしました。
この水車もいつか後世の人々に伝説と呼ばれることになるのかもしれません。今、水車のクリーンなパワーが改めて見直されています。最新の研究でも、水車を使った水力発電システムが盛んに研究されていて、大規模な開発を必要とせず環境に配慮した自然エネルギーの動力として、今後増える可能性のあるエネルギー需要の救世主として注目されています。これからもっともっとその動力効率は上がっていくのでしょう。
水車は風土や自然に調和しながらずっと自分たちを支え続けてくれました。そして、未来にむけて水車はどのような姿を自分たちに見せてくれるのでしょうか。水車と共に生きる世界が改めて見直されてきています。
【参考】素敵な宇宙船地球号 11月23日
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