サミット夕食会のメニューから
白熱した議論が交わされている北海道・洞爺湖サミットなんですが、実は議論の内容よりも外国メディアを中心に話題になっているのが夕食会ネタだそうです。
「総理夫妻主催 社交ディナー」と銘打った7日夜の晩餐会には、各国首脳が夫人とともに招かれました。メニューは以下の通り。
・七夕飾りの付いた皿に盛られた美瑛産のアスパラや和牛の冷しゃぶ
・毛ガニのスープ
・網走沖で獲れたキンキの塩焼き
・子黒トリュフ風味で調理された子羊のロースト
利尻島のウニ、オホーツク海の毛ガニ、白糠の子羊肉など北海道が誇る高級食材を使った豪華料理です。
しかし、一方でこの料理に対して波紋が広がっているそうです。イギリスの新聞では「豪華ディナーを食べながら食糧問題を語るとは偽善的」だと訴え、他の国の新聞も「アフリカの飢餓問題など、食料危機の協議は、腹の減る仕事なのだ」、「過剰な費用とぜいたくな消費で、ひどいスタートを切った」と酷評しています。
これには、2つの見方があると思います。一つは、これを肯定する考え方。たしかに、食料の問題を話し合っているのに、贅沢な料理を食べていたのでは、冷房の効いた涼しい場所で温暖化を語るのと同様に、説得力が欠けてしまうと思います。
もう一つの見方は否定的な考え方。各国の首脳がわざわざ日本に来日してくれているにも関わらず、粗末なもてなしなどできるはずはありません。礼儀やもてなす気持ちを文化とする日本において、それは許されないと感じるのは当たり前です。つまり、食糧問題の会議と夕食をもてなすというのは全く別な話で、同じ土俵で考えるべきではないと思います。
この二つの考え方以外にも色々あるとは思いますが、正直自分はどちらが正しい意見なのかわかりません。ただ一つ言えることは、この二つの考え方は全く反するものではないのではないかということ。
食料危機にあえぐ人々のことを考慮した夕食メニューにしたり、水は浄水技術を集めたものを使用するなど、一定の配慮があっても良かったのではないでしょうか。
高級食材だけがもてなす気持ちにつながるわけではありません。世界にメニューともてなす気持ちを発信しつつ、食糧問題を解決していくんだというメッセージを込めた夕食会にできたんじゃないでしょうか。
今回決まった様々なことが、絵に描いた餅に終わらないようにしないといけないですね。
【参考】日本経済新聞 7月8日
地球は世界を養えるのか―危機の食料連鎖 (1998/06) 矢口 芳生 |
◆関連する記事◆