ピンクイルカを呼ぶ少女
アマゾン最大の支流ネグロ川。そこには群島が多数存在する自然や動植物の宝庫となっています。
このアマゾン川の生態系の頂点に立つのは、ピンクイルカとも呼ばれるアマゾンカワイルカです。これは生きた化石ともいわれる貴重な生物です。
このピンクイルカ、透明度の低いアマゾン川の中ではその姿を見ることはほとんど不可能とされていました。しかし、そのピンクイルカと楽しそうに泳ぐひとりの少女がいます。
ノヴォ・アイロンという場所にある、イルカハウス。そこに勤める看板娘がモニーケ・アルメイダさん、17歳。彼女こそがピンクイルカと戯れることができる少女です。
彼女が、水面をパシャパシャするだけで、多くのピンクイルカ(アマゾンカワイルカ)を呼ぶことができるのです。
世界にはカワイルカが数種類存在します。しかし、それぞれの生存数は極端に少ないのです。
・ヨウスコウカワイルカ: 100頭未満
・ガンジスカワイルカ: 数百頭
・メコンカワイルカ 数百頭
いずれも絶滅寸前まできています。日本にもヒライズミカワイルカというカワイルカがかつて存在していました。
その中にあって、アマゾンカワイルカだけが数万頭規模で存在している。その秘密はこのネグロ川の色にありました。ネグロとは現地の言葉で黒いという事からも分かるように、川の色が茶褐色なんです。この理由は、浸水林から落ちる落ち葉からしみ出すタンニンが水中で溶け出したことによります。これがイルカたちの発見を防止してきたのです。
ところが、近年ピンクイルカに3つの危機が押し寄せています。
<危機1>密猟者
この付近での密猟者が後を絶たなくなり、彼らが仕掛ける張り巡らされた網によってピンクイルカたちが深く傷つき障害を負ってしまっているのです。密猟者をIBAMAの担当者も監視をしているのですが、広大な土地を回る人数も限られ、とても間に合わない状況です。
<危機2>迷信
イルカには様々な魔力があるという迷信をアマゾンの人々は未だに信じているというのです。イルカの目は財布に入れておくとお金持ちになれる等のイルカの部分によって多くの迷信が存在します。このバカげた迷信によって、イルカたちがいとも簡単に殺されてしまう現実にモニーケさんは嘆きます。
<危機3>ダム建設
近年、アマゾン川支の流にダム建設に許可が下りました。川がせき止められることによって、イルカたちの繁殖に大切な場所がダム建設によってなくなってしまうのです。通常、イルカたちは雨期になると浸水林になった広い場所で思い思いの行動をし、乾期になって川の水が少なくなる頃、集まってきたイルカ同士で繁殖を行うサイクルがあります。しかし、ダム建設によって、浸水林は浸水したままになってしまうため、繁殖行動が行われなくなってしまうのです。
このような危機に対して、それぞれの立場で必死にイルカ達を守ろうと必死に戦っています。イルカハウスでは今日も多くの人々にイルカは魔物じゃないと訴え続けます。しかし、迷信だけでなくもっと大きな力の中でモニーケさんができる範囲は限られています。
人間の営みは、そこにある生態系を守りつつ共存共栄していくのが基本です。それぞれの国で、経済状況、環境問題、問題意識の差異はあるにせよ、問題だということを世界レベルで訴えていくことでイルカを守ることはできないものなんでしょうか。
【出展】素敵な宇宙船地球号 6/22
手のひらサイズの動物に心和みます♪ミニアニマル03 ミニミニ親子 ピンクイルカ(親・子)
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このご意見まったく同感です。TV放送を見てダムの建設だけでもどうにかならないものかと思いました。世界遺産に登録されたりしたら建設はできないんですよね?
署名活動などで市民活動をしているところはないのでしょうか?
残された川イルカだけでも守っていくことが地球上にすむ私たちの役目ですよね。
コメント by ハルママ | 2008/06/27 11:56