炭坑節の世界の中で
皆さんは炭坑節という歌を知っていますか?
ちょっと歌詞を書いてみたいと思います。
♪♪♪♪♪
香春岳から 見下ろせば 伊田のたてこうが 真正面
12時下がりの サマちゃんが ゲージにもたれて 思案顔
サノヨイヨイ
ひとやま ふたやま みやま越え 奥に咲いたる 八重つつじ
なんぼ色よく 咲いたとて サマちゃんが 通わにゃ 仇(あだ)の花
サノヨイヨイ
月が出た出た 月が出た 三井炭坑の 上に出た
あんまり煙突が 高いので さぞやお月さん 煙たかろ
サノヨイヨイ
格子窓から 月がさす サマちゃんの寝顔の 愛らしさ
はずした枕を すけさしょか 思案なかばに 明けの鐘
サノヨイヨイ
♪♪♪♪♪
自分が子供の頃、炭坑節は決まって踊りのラストを飾るメインイベントでした。それまで屋台などでくつろいでいた人たちも、炭坑節が流れ始めると、どこからともなくやってきて輪の中に加わります。
というのも、盆踊りの最後にくじ引き大会があって、そのクジは炭坑節を踊っている輪の中にいないともらえなかったのです。そうやって、2重にも3重にも輪ができたものでした。
なので、自分は今でも炭坑節だけは踊ることができたりします。皆さんの中にも炭坑節を踊れる人は結構多いんじゃないでしょうか。
その炭坑節の歌詞なんですが、有名な3番の歌詞の中で自分は「三池炭坑に月が出た」と覚えていました。レコードも確かにそう歌っていたので、この炭坑節の発祥の地は福岡県大牟田市にある三井三池炭坑だとばっかり思っていました。
しかし、とある新聞で読んだのですが、炭坑節は多くの替え歌があり、本当の発祥は福岡県田川市だということです。確かに田川市のホームページにも「炭坑節のふるさと」と記述されています。
この炭坑節、歌詞をよく見ると恋愛を歌っているんですね。「サマちゃん」というのは、女性が恋人を呼ぶ言い方らしく、愛しい人への思いを歌った内容になっています。たしかに、炭坑マンにとってつらく厳しい仕事をしているときこそ、思いを寄せた人、家族を思いながら、この歌を歌うことで元気が沸いてきて、がんばろうって思えたんでしょうね。
既にこの舞台となっている三井田川炭坑は閉山しているのですが、この頃の人々の思いは40年以上経った今も全国の人々の心にしっかりと残っています。
【参考】be on Saturday 6月21日
炭坑節物語―歌いつぐヤマの歴史と人情 (1997/11) 深町 純亮 |
◆関連する記事◆