アラル海の復活から学ぶこと
今週の素敵な宇宙船地球号は棄てられた海「アラル海」の特集です。ここは史上最大の環境破壊と言われた場所です。
かつて、アラル海は2つの川が流れ込んでいて豊かな水量を誇っていました。
そこにソビエトは、自然改造計画と銘打ちアラル海に注ぎ込むシルダリア川とアムダリア川の流域の灌漑を実施して、輸出用の綿花を生産しようとし、その結果アラル海は1日に10m以上も縮小してしまい、大地は塩でまみれてしまいました。さらにアムダリア川は完全に干上がってしまい、なくなってしまったのです。
砂漠化した流域を少しでも改善しようと植林を始める人たちが現れて、サクサウールという緑の茂みを作り出すことに成功しましたが、住民が貧困のため植えた木を切って薪にしてしまい、この作戦は失敗に終わります。これを住民のせいにしてはいけません。生きていくためにそうせざるを得なかった状況をそもそも作ってしまったことに問題があるのです。
流域は、砂やほこりにまみれ周辺住民の8割が腎臓と呼吸器系に疾患を持っている環境病に悩まされることとなります。これは特に弱い子供たちを襲っているのです。
このまま死の大地になってしまうところに救世主がいたのです。アムダリア川はすでに干上がってしましましたが、シルダリア川はまだ残っていたのです。
2002年、カザフスタン政府はシルダリア川の水をアラル海に注ぎ込むようにダムを作り始めました。
世界的に問題意識を持って取り組み、28億ドルを投じてコクアラルダムを完成させたのです。その結果アラル海は塩分濃度が4分の1になり、いなくなった魚が戻ってくるかもしれないレベルまで上がりました。アラル海で5年前に漁をしていたクドゥルバイさんによると、1m以上水位が上がり5年前にはいなかったコイやフナが獲れるようになったと喜び、その息子も父親とこの地で一緒に漁をすることが夢だと胸を張っていました。自分はすごく胸を打たれました。子供の夢が世界中の人たちの援助によってつながったのです。
環境破壊によって厳しい状況が続いている世界のなかで、状況が好転しそこに住むことを許されつつある人たちもいることは素敵なことだと思います。そこに住むことの大切さ、住み続けることの大切さを改めて実感する内容でした。
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