カイゼンするスターバックス
今や日本で独自の文化を創り出しているスターバックス。彼らは喫茶店が衰退しつつあるなか、アメリカですでに実績のあった独自の高品質なコーヒーと上質なサービスをもって、日本で一気に店舗を拡大しました。これによって、既存のコーヒーショップがビジネスモデルを取り入れて追従する余裕を与えることなく、日本人にカフェラテといえばスターバックスというようなイメージを植え付けることに成功したのです。
そんなスターバックスの本家であるアメリカでは、今急速に利益を伸ばしています。その大きな要因の一つとして「カイゼン」が挙げられるそうです。これは、トヨタ生産方式である「7つの無駄」を排除する考え方を取り入れた活動です。以下にトヨタ方式生産方式での7つの無駄を示します。
<7つの無駄>
1. 作り過ぎのムダ
2. 手待ちのムダ
3. 運搬のムダ
4. 加工のムダ
5. 在庫のムダ
6. 動作のムダ
7. 不良をつくるムダ
スターバックスでは、トヨタで働いていた人が全米のお店を回りこのトヨタ生産方式の心を伝えて回っているといいます。具体的には、商品の材料をできるだけ近い場所にまとめ、コーヒーの種類が一目で分かるように色別のラベルを貼るといった無駄を省くための努力をストップウォッチを片手に進めているそうです。これにより、ある店では一つの注文をさばくまで平均25秒にまで短縮することに走行したということからも、有用性はかなりあるといえます。
一方で、スターバックスの魂であるお客様に最高のいっぱいを入れるという考え方と逆行するのではという不安もあるのが現状です。待ち時間そのものをなくすという考え方がある一方で、待ち時間を飽きさせずに楽しませることによって時間が経つのを忘れさせるという考え方もあります。
後者の考え方にたったサービスの例として、作っている手順や状況を利用客が見られるようにするという方法があると思います。現在は店員の頭しか見ることができず、客は注文が終わったらランプの前でひたすら出てくるのを待つしかありません。その間に店員は一生懸命手を動かしているのがわかるのですが、どのようにコーヒーを作っているのかがわかりません。ここを見せるように工夫することで、客は自分がこれから飲むコーヒーがどのようにできてくるのかがわかり、満足して飲むことができるでしょう。
他でうまくいったやり方が自分のお店でうまくいくとは限りません。それぞれの企業には固有の文化やイメージがあり、それに合致したやり方であることが求められます。スターバックスとトヨタの”ものを作る”という考え方やイメージは同じといえるでしょうか。その答えは客が一番知っているのです。
【参考】日本経済新聞 2009年8月6日
スターバックス 成功の法則と失敗から得たもの (2009/03/30) テイラー・クラーク |
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