八重の桜 第27回「包囲網を突破せよ」
前回に引き続き厳しい戦いを繰り広げる会津の中にあって、今回は冴えた動きをする人が2人ほど登場します。それが八重と大蔵でした。八重は前回に引き続きスペンサー銃を使って確実に敵の兵に命中させていきます。日新館を敵の手に渡らせないように焼き払ったときに、重傷者は自害したという知らせを聞いて改めて憤る八重は、夜襲に出ます。
その際に眼にしたのは目の前にいる負傷した敵でした。その人に向かって至近距離で銃を撃つことに対して、昔両親から言われた「銃は殺生する道具である」という言葉が頭をよぎります。遠くからは「命中」と言いながらガンガン撃っていたのですが、至近距離ではさすがにできなかったようです。
そんな八重の活躍とともに、今回注目を浴びたのが大蔵でした。周囲の中で1人だけ西洋風な軍服を着て、髪の毛もその当時にはないほどのオールバックで、現代人と勘違いしているのではないかと思われる設定なのですが、そんな大蔵は敵に周囲を囲まれている鶴ヶ城に入るために、彼岸獅子を行列の先頭においてその後ろを歩くという奇襲に出ます。
敵兵は「どこの藩だ?」といいながらあっけにとられていますが、明らかに怪しいと思うのは自分だけでしょうか。悠々と登場して城内に入っていくのですから普通に考えたら会津藩の者ではないか、と考えるのではないでしょうか。今回、薩摩や長州のトップの皆様の登場はほとんどなかったので、彼らの指示でスルーさせたという印象は与えずに済みそうですが、結構新政府軍にとってはチョンボだと思います。
その他は、全般的に会津が置かれている厳しい状況を反映するものでした。前回の白虎隊や重臣の自害に続き、今回は中野竹子たちの婦女子隊が敵陣に突っ込んで命を落とします。戦場の少し泥臭い雰囲気とは全く違ったのが黒木メイサでした。ひとりでしっかりとメイクを施し、汚れ一つないまま命を落としていきます。作者としてもなにか思い入れがあって、汚したりはしたくなかったのでしょう。
さて、次回も引き続き戊辰戦争ですが、これまでストッパーの役割を果たしていた頼母が容保から会津を去るように命じられます。この人は会津にとって絶対に必要で、対案を述べてくれる唯一の人だったのですが、非常に残念です。彼が八重に言った「人より強くならないと」という言葉はすごく重みのある言葉だと感じます。人より強くならないと、やりたいことはできない。当たり前なのですがそれが真実。そのために努力が必要だと改めて感じました。
結果はともかく、八重を始め会津の人々がどのようにこの籠城のなかで感じて行動していくのか、それをしっかりと見て行きたいと思います。
◆八重の桜紀行◆
福島県河沼郡会津坂下町
- 法界寺
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