今回は、次回からの大きな流れの前のほんの少しの隙間といった雰囲気のなか、物語は八重の決死の戦いと頼母との悲しい別れ、そして佐川官兵衛が中心になります。頼母については、容保が会津にやってきた頃から「自分は殿が間違えていると思ったときは一身にそれを止める」と言っていたように、恭順の道を進言します。
しかし、その前に陣頭指揮をとった戦で敗北し敗軍の将となってしまった頼母に対して、家老たちは「弱腰」といって聞く耳を持ちません。果たして容保も同じように思ったのかどうかは分かりませんが、少なくとも命を下した後、頼母に対して「生きろ」と強く念じたのを見ると、家老達の思いとは少し違った感情を持っていたのかもしれません。夕暮れ時に頼母は、八重たちの制止も空しく去っていきます。
話はもとに戻り、鶴ヶ城ですがこちらは籠城の要である補給路を完全に抑えられていて、もはや時間の問題といった感じ。それでも、女性を中心に最後まで諦めないという強い意志と明るさでみんなで協力して乗りきっている状況でした。この辺りは本当に見ていてつらい状況でした。結末はおそらくみんな分かっているのに、それを出さずに、懸命に生きる姿を感じました。
その中で、八重は危険な不発弾処理をしているところを容保に垣間見られ、そのまま謁見することに。もっと重大な謁見になるのではないかと思っていたのですが、かなりあっさりと修了して拍子抜けしてしまうくらいでした。八重としてももっと容保に話したいことがあったのだと思いますが、周囲の家老から止められ消化不良の状況になってしまいます。見ている自分もそんな気分になってしまいます。
大蔵の妻である登勢が八重から教わった危ない不発弾処理を実践し命を落とすと、戦況がますますやばくなりつつあり、最後の手段として登場するのが佐川官兵衛でした。中村獅童の演技力はものすごいものがあり、周囲の役者を完全に蹴落とすくらいの存在感と迫力を持って、容保から戦地に赴くように命を受けるというシーンも綾野剛が薄くなってしまうほどでした。
しかも、官兵衛のワンシーンが長い長い。きっと見ている人は誰も感じたのではないでしょうか。官兵衛という人物がこれまでの誰よりも重要視されているかのような雰囲気で、中村獅童がまたその雰囲気を増幅しています。散々存在感を見せつけておいて、次の日は寝坊して背水の陣になってしまうというのは、なんだか切ない話です。
いよいよ、次回はある重大なひとつの結末を迎えます。会津の人々の心がどうなっていくのか不安でもあり期待もしながら選挙開放速報の前に楽しみたいと思います。
◆八重の桜紀行◆
福島県会津若松市
- 長命寺