篤姫 第44回「龍馬死すとも」
とうとう大きな歴史が動き出しました。その動きのあまりのあっけなさに見終わった今、本当に出来事は起こったのかどうかが幻であったように思えて仕方ありません。その出来事とは、大政奉還と坂本龍馬の死でしょう。
まず大政奉還ですが、慶喜の存在感があまりにもありませんでしたね。当然と言えば当然ですが、天璋院の存在もあまり感じることができませんでした。二条城に大名を集めての会議でも、慶喜よりも大きく目立っていたのは小松帯刀の方で、演説の時間数も小松が数分間に及んで独壇場だったのに対して慶喜は、「何でも申せ」位でしょうか。すごく大切な状況にも関わらず、あっけなさ過ぎます、これでは、どんだけ大変だったのか、それぞれの思いがどのように結びついた結果なのかを推し量ることなど到底できません。
次にあっけなかったのは坂本龍馬の死でしょう。お約束の寺田屋で、前回は何とか命を拾いましたが今回はだめだったようです。この場面でも、刺客は最後のとどめを刺さずに、ダイイングメッセージを残すだけの余裕を与えています。これまで幕末の主導者だった彼の最期にしてはあまりにもあっさりだったなぁという印象を受けました。坂本の死でも目立ったのは、小松帯刀の叫びだったんじゃないでしょうか。ここまでくると、小松帯刀の物語ではないかと思うくらいです。
少しずつ大久保や西郷たちと小松の考えが違っていく様子を岩倉具視がうまく利用していきそうな、そんなうまい演技を片岡鶴太郎がしています。味があっていいですね。片岡鶴太郎というと、「鶴ちゃんのプッツン5」を思い出してしまうのですが、どうやらもうそんな彼を見ることはできないようです。
最後の天璋院の決心はかっこよかったですね。今後は自分が大奥を守っていくんだということを宣言します。実際にどうなるかはわかりませんが、自信を持って宣言したことは周囲に安心とそっからわき上がるプラスの効果をもたらすので、効果は絶大だったんじゃないでしょうか。大奥の女達の戦いが静かに始まろうとしています。