牛丼屋さんで声を発しなければならない苦痛とは
先日、とあるサイトで「牛丼屋でごちそうさまという言葉を発しなければならないので、吉野家は敷居が高い」と話す人がいて、それに対して共感する人が数多くいることに驚きを覚えました。
ご存じの通り、吉野家は他の牛丼屋では当たり前のように存在する券売機というものがなく、対面で注文をして料金を手渡しする形を取り続けています。それは、経済的に費用対効果の面で対面販売をしているという側面もあると思いますが、それ以上にお客様とのコミュニケーションをとることに重きを置くことがあるといわれています。
その吉野家の思いに対して、お客様は親近感を覚え「牛丼を食べるなら吉野家に行った方が安心する」という人がいる一方で、他人と会話をしなければならないというハードルを感じてしまう人もいて、そういった人たちは、吉野家よりも松屋やなか卯、すき家の方がはるかに安心するといいます。
コミュニケーションをとるのが不得意で億劫だと感じている人のことをネット上で「コミュ障」と呼んだりしますが、そういう人たちによると、ごちそうさまと声を出すことがつらいのではなく、声をかけたときに無反応であったときの雰囲気の方がよっぽどつらいそうです。お店の人も決して悪気があって無反応でいるのではなく、お客様の声が小さかったり、店内が混んでいて騒がしかったりすることによって反応できなかったという場合もあるでしょう。
外食の際に、「ごちそうさま」という言葉をどのくらい言っているか、家庭では当たり前のように言っているこの言葉が外食時になると頻度が下がるのではないでしょうか。一様に言うべきかどうか、それはすごく難しいですし、どちらかにすべきだとすることはできません。
ただし、場所によってそのごちそうさまという言葉は、店員にとって次の行動の起点となります。先ほど登場した牛丼屋では、使用済みのお皿を下げるきっかけになりますし、吉野家ではお会計のきっかけとなります。
また、お会計の時に一言、「ごちそうさま、おいしかったです」ということができれば、店員も嬉しいでしょうし、そこから次回に何かがつながるかもしれません。面と向かって無言で居続けるのは双方に気まずい雰囲気を残してしまいます。誰かに聞いてもらえない状況下でも、気持ちよく「ごちそうさま」と言い、それができた自分をほめてあげてはいかがでしょうか。
【参考】web R25 http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20120120-00022584-r25
今日もごちそうさまでした (2011/08/25) 角田 光代 |
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