メモは箇条書きよりも図解
人に伝えることがうまいというスキルは、仕事の面で最も重要な技術の一つです。どんなに素晴らしいことを考えていても、それを相手にわかりやすく伝えることができなければ相手にとっては説明しなかったことと同じ事になるばかりではなく、マイナスのイメージを与えてしまうこともあるでしょう。相手から適切なインプットを得て、自分の中で物事を考え、それを相手にアウトプットする。この簡単な動きが実は難しかったりするのです。
書店に並ぶビジネス雑誌では、インプットとしてメモをとること、アウトプットとしてプレゼンを挙げていてそれらのスキルについて多くのアドバイスがされています。自分もよく購入して読んでみるのですが、インプットもアウトプットも箇条書きで書いてみるといいというものが多いように感じます。そこで最近ではそれに従い箇条書きでメモをとり、プレゼン用の資料でも箇条書きでアウトラインを作成するようにしています。
しかし、箇条書きで色々とメモをとってみて思うのですが、いくつか課題があるように感じていました。それは急激に時と共に記憶から薄れていってしまうこと、そして本質的な理解に結びついていないのではないかという不安です。確かに箇条書きは手軽で素早く相手の話をメモすることができますが、それを後から見てリアルタイムに聞いていたときよりも理解度が低くなっていくのであれば、何かしらの問題があると考えざるを得ません。そのことが永田 豊志さんの「頭がよくなる「図解思考」の技術」という本の中で明らかにされています。以下箇条書きの問題点を示します。
◆箇条書きメモの6つの問題点
1. 言葉をすべて書かないといけない(時間がかかる)
2. 話が飛ぶと収集がつかない(関係性や構造がつかめなくなる)
3. 問題点がつかめない、矛盾に気づかない
4. 覚えられない、記憶に残らない
5. 一度書いたら、そのまま放置。展開しづらい
6. 資料を作るときには、別途図式化しなければならない
では、どのようにしたら上記の問題を解決して内容が自分のものになるような書き方ができるのでしょうか。永田さんはそれを「図解」のなかに見いだしています。図解という言葉は至る所に氾濫していて、参考書から始まり多くのビジネス雑誌でも紹介されていますが、永田さんは至ってシンプルに、そして素早く図解をするポイントを自分たちに教えてくれています。以下に図解メモを行うことのメリットを示します。
◆図解メモの6つのメリット
1. 言葉を省略できるからスピーディーに記録できる
2. 話が複雑でも関係性を理解しやすい
3. ヌケ、モレ、矛盾を発見しやすい
4. 記憶に定着しやすい
5. 後からアイデアを展開しやすい
6. 報告書やプレゼン資料にそのまま転用できる
図解は、複雑で綺麗なものを作り始めてしまうと時間だけが経過してしまい、本末転倒になってしまいます。永田さんのアドバイスする図解では、基本パターンとして単なる四角と矢印で、文字はなるべく使わないようします。図はなるべくシンプルなものほど、自分にも他人にも理解しやすく、プレゼン資料や報告書へそのまま転用できるため、優れた図解といえるというのです。
さらに理解することができるだけでなく、副次的な効果を期待することができます。図解は、物事を抽象化したりパターン化することにその目的があり、それができればまったく無関係のほかの案件にも類似性を見つけることができます。類似性が見つかれば、ほかで使った考え方、解決方法が、目の前にある問題にも適用できることが分かるというメリットがあるのです。それ故に図解は四角と矢印を中心としたシンプルなものにする必要があるのです。思いついた形をなるべく四角と矢印にまとめることがスムーズに出来るようになれば、きっと物事をシンプルに考えることができ、さらなる考えも浮かんでくるでしょう。難しい図を書かなくていいというだけで、続くような気がしますし、モチベーションも上がります。早速この方法を試してみたいと思います。
【参考】誠 Biz.ID http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0911/24/news006.html
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