充電式電池の電圧が低いのは
使い捨ての時代からリユースの時代となった今、電池も充電式のものを利用して何回も繰り返し使うことによって経済的にも環境的も配慮しようとする人が増えているようで、スーパーや電機店に行っても全面に充電式電池が置かれています。
三洋電機から発売されているニッケル水素充電池「eneloop」は2009年11月14日から従来製品で約1000回だった繰り返し利用可能な回数を約1.5倍の1500回に伸ばした電池を売り出します。2個入りパックの価格は単三形が1155円、単四形が945円なので、1回当たりの使用コストが従来の4円から2.5円まで下げることができるようになるといいます。自治体にもよりますが、電池を捨てるときにも週に1回程度の分別が必要であり非常に面倒な点を考慮しても、充電式電池は非常に魅力的だといえます。
自分もかつてそのように思い、購入し充電完了後にポータブルCDプレーヤーに入れて音楽を聞いてみたところ、音がいつもよりも少しこもっていてまるで回転数の遅いレコードを聞いているかのような感じがします。故障かと思い今まで使っていたアルカリ電池に交換してみるといつも通りに聞くことができます。そこで充電式電池を見てみると、電圧が1.2Vと書かれています。通常のアルカリ電池が1.5Vなのに対して0.3V程小さいのです。どうやらこれが問題だったようです。
そこで充電式電池が1.2Vである理由について調べてみることにしました。一般に利用しているアルカリ電池は、プラス極に二酸化マンガンと黒鉛の粉末、マイナス極に亜鉛を使用していて、電圧が約1.5Vあるのですが充電すると爆発する危険性があります。それに対してニッケル水素充電池は、プラス極に水酸化ニッケル、マイナス極に水素吸蔵合金を使用していて電圧は約1.2Vですが、繰り返し充電することができる性質を持っています。
充電式電池は、繰り返し充電することができるプラス極とマイナス極が化学反応する組み合わせを得るのと引き替えに、電圧が1.2Vになるのを許容しているようです。1.5Vにすればいいのではないかと思いますが、そこは繰り返し充電可能な性質を持つ化学反応をおこす組み合わせが今のところ見つかっていないことと、大きな差がなく支障がないことが理由のようです。
実際問題としてアルカリ電池は始め1.5Vの電圧がありますが、ニッケル水素充電池よりも早く電圧が下がってしまい、結果的にはあまり差がないという実験結果も示されています。それだけでなくニッケル水素充電池は使い始めから使い終わりまで安定した電圧で長時間使えるという特性を持っているといいます。
以上の観点から、ほとんどの製品では充電式電池を使用することによって恩恵を得ることができそうです。少し前までの充電式電池であるニッカド電池からニッケル水素電池に変わっている今、その性能も格段に向上しているようなので、電池を使ったカメラなどを多く利用する人は充電式電池を使ってみてはいかがでしょうか。
【参考】三洋電機 eneloop http://jp.sanyo.com/eneloop/faq/eneloop_2.html
エネループエネループ(eneloop)単3形
急速充電器セット単3(2個入パッケージ)
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