恐ろしい薬の取り違えリスク
徳島県の病院で、患者さんに抗炎症剤である「サクシゾン」を投与しようとしたのですが、誤って筋弛緩剤である「サクシン」を投与してしまって患者さんが亡くなってしまうという事故が発生しました。サクシゾンは解熱効果がある薬なのですが、サクシンは麻酔の際など筋肉の動きを弱める薬です。
医療に従事する関係者の証言を色々と調べてみると一様にありえない間違いだとしていますが、人間が行うことなのでミスを想定した対策が求められてきました。この問題について製薬会社はサクシンの名前を「スキサメトニウム」と改めました。しかし、厚生労働省によるとこの他にも名前が類似しているために取り違えてしまった薬が存在しているそうです。以下にその組み合わせについて示します。
◆アマリール(糖尿病=血糖降下薬)
アルマール(高血圧症、狭心症=降圧薬)
◆タキソール(卵巣ガン、肺ガン=抗ガン剤)
タキソテール(乳ガン、肺ガン=抗ガン剤)
◆ノルバスク(狭心症、高血圧症=血管拡張剤)
ノルバテックス(乳ガン=ホルモン療法剤)
◆アロテック(気管支ぜんそく=気管支拡張剤)
アレロック(アレルギー性鼻炎=アレルギー治療薬)
◆ウテメリン(切迫早産、切迫流産=子宮収縮防止)
メテナリン(人工妊娠中絶など=子宮収縮促進剤)
◆テオドール(気管支ぜんそく=気管支拡張剤)
テグレトール(てんかん=抗けいれん剤)
◆プレドニン(副腎皮質機能不全=ホルモン剤)
プルゼニド(便秘症=下剤)
新薬を承認する際には既存の薬と混乱しないかを確認するのですが、すでに存在しているものを変更するのは製薬会社としても難しいとしてきたそうです。しかし今回のように死亡事故が明るみにあって必然的に対応を迫られているのが現状なのです。まず第一に考えるのは患者のことであり、それを支える医者のことを考えた製薬事業が求められます。
よく見ると上表の中では、類似した名前にも関わらず降下が全く逆のものが存在することから、利用者としては確認を十分にすることができないため恐ろしい状況といえます。利害関係が多く存在するこのような場合には、厚生労働省などがトップダウンで薬の名前に関する是正を求めていく必要があるのではないかと思います。すべては患者のためなのですから。
【参考】YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090725-OYT8T00565.htm
くすりの事典〈2010年版〉―病院からもらった薬がよくわかる (2009/05) 小林 輝明 |
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