カポエイラでアマゾンの危機を救え
地球温暖化の主な原因の一つとされる森林伐採が最も深刻とされるアマゾンの森。
共同通信によると2007年8月から12月までの5ヶ月間で、なんと東京都の1.5倍に相当する約3200平方キロメートルものアマゾンの大森林が消失していることが分かったそうです。その大きな原因は貧困などからくる焼き畑なんですが、アマゾンの土地はもともと砂地が多いので、開墾してもすぐにその土地はやせ細ってしまうそうです。そのため、さらに新たな畑を求めて森林を伐採するという負の連鎖が生じています。
そんな深刻な問題に立ち上がった一人のドイツ人がいます。ブラジル農牧研究公社の東部アマゾン研究所にドイツから出向しているシュテファン・ホーンバルト博士です。彼は「カポエイラ」と呼ばれる画期的な再生林を各地で広め、既存の森林伐採を食い止めようとしているのです。
カポエイラでは、果樹や木材となる樹木や穀物などを混合して栽培していて、そこで育った農作物の栄養分が土地に残り、さらに次の作物の生長につながるという相乗効果をもたらしています。このように、樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農業方法のことを「アグロフォレストリー」といいます。
アマゾンに住む人々によってとって、焼き畑による森林伐採が目的なわけではありません。あくまでも生きるために食料を入手したい。そのための肥沃な大地を求めているのであり、森林伐採による焼き畑は手段にしか過ぎないのです。人間にとって生きるための行動というのはとても強く、そこには地球温暖化や環境問題という将来の問題を考える余地はないのです。
なので、カポエイラを効率的に育て、肥沃な大地を作り出すことができれば、自ずと森林伐採は減っていくのだと思います。まだまだ課題も多く高価な木材を売るための不法伐採は後を絶ちませんが、少しずつ効果を上げていくためにこのカポエイラの研究が実を結ぶことを願ってやみません。
【参考】日本経済新聞 11月6日
アグロフォレストリーの発想 (農林統計叢書 (20)) (1995/04) 増井 和夫 |
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