オール電化はエコじゃない?
以前のブログで、環境省が提示しているウォームビズの効果をしっかりとすべきだということを書いた際に、エネルギー関連の企業にお勤めの方から以下のようなコメントを頂きました。
(夕陽さんのコメント)
空調の温度設定で削減可能なCO2の量なんてとても限定的なものです。政府の役人が机上で概算した数字なんて気休め程度でしかありません。
日本が電力=火力発電に頼る国家である以上、国際的に約束した数字である二酸化炭素排出量削減目標(京都議定書による)は100%達成不可能です。もっと根本的な解決策が必要です。
オール電化で二酸化炭素が削減できるなんて考えの日本政府の考察は実に馬鹿馬鹿しい。発電所で作られた電力の約7割が家庭に届くまでの電線供給過程で空気放出されるのですから。
実態を知らずに電力会社とその献金を受ける政治家(政府)の情報に国民が踊らされている以上、二酸化炭素の削減など机上の空論に過ぎないのです。
目から鱗が落ちるような素晴らしいコメントだと思いました。さらに今月のサイゾーにもそれを裏付けるような記事が載っています。
論点は大きく2つあります。一つは、オール電化はエコではなく逆にCO2を多く排出していること。もう一つは、電力の消費の大部分は企業によるもので、そこにはほとんど省エネ対策がとられていないこと。
■オール電化はエコじゃない?■
オール電化で、夜間に増えた分の電力需要は、発電時にCO2を排出しない、原子力や水力も含めた発電で賄われるという言い方をされていますが、実は火力発電で賄われているそうです。
原子力発電は、ベースの電力と呼ばれ常に一定の割合で発電されているのに対して、時間帯によって増減する部分の発電は火力発電によって賄われるそうです。
なので、夜間にオール電化住宅等で消費される増加電力を賄うのは火力発電ということになるので、オール電化住宅のCO2の排出量を計算する時は、火力発電単独で計算する必要があるとしています。
火力単独で計算すると、オール電化によって、家庭で抑えられるCO2の排出量を上回る量のCO2が、発電時に排出されることになるのです。
■大企業の省エネ対策が遅れている?■
家庭のCO2排出量は全体の5分の1程度で、大半は産業だと言います。でも、大口の顧客である産業界からの圧力があるので、家庭に一生懸命節約するようにと目が向けられているそうです。
企業はコストがかかるものについてその効果をシビアに見ます。電気料金については基本料金が高くて単価が一定で使うほど割安になるため、省エネするメリットが少ないといいます。
みんな省エネ製品を導入すれば、それだけでCO2排出量を約4割減らすことができ、仮に3割でも減らせば、それだけで京都議定書をクリアできるというのですから、いかにスケールメリットがあるかがわかります。
このように削減する際には、規模の大きいところから削減することによって全体的に大きな効果を得ることができます。
上記の計算や考え方が全て正しいとは思いませんし、違った考え方もあると思います。また、各家庭レベルで省エネの取り組みを行うことによって、社会全体の動きを加速させることもできることから、自分たちも省エネについて継続的に取り組んで行く必要があります。
ただし、日本が約60%を火力発電に頼っているという事実もあります。それは原料となる化石燃料が安く手に入ることから、導入してしまっている背景があることも忘れてはいけません。
諸外国をみると、環境先進国であるドイツは風力発電や太陽光発電の推進が強力にすすめれていて、個人による電力売買といったメリットを享受しようと、国民が一斉に太陽光パネルを設置していると言います。
こうした状況に対して、ただ単純にオール電化=エコと考えるのではなく、その裏にある隠された事実をしっかりと見つめ直し、どうするべきなのかを考えるいい機会にはなったと思います。
【参考】サイゾー6月号
「足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ(足温ネット)」代表
田中優氏コメントより一部引用
エネルギーはベストミックスで オール電化の「不都合な真実」 (諏訪書房新書) (2008/05/10) 中川 順一長澤 耕一 |
◆関連する記事◆