西郷どん 第28回「勝と龍馬」
今回は、まれに見る転機となった内容になったのではないでしょうか。それは、慶喜との関係と、それに関連する様々なキーマンとの出会いだと思います。まず慶喜ですが、前回まで禁門の変で町が焼け野原になってしまった際の張本人として敵対視したのが長州でした。長州を討ち滅ぼすという野望に燃える慶喜は周囲に征伐することに積極的に参画するように命を下します。それに対して明確に異を唱えるのが幕臣である勝安房守でした。
勝は戦をするときではなく内政に目を向けてほしいと意見を述べますが、慶喜は聞き入れません。この状況を打開しようとして慶喜は吉之助を勝のもとへ向かわせます。そこで出会ったのが坂本龍馬でした。しかし、今回は軽い触りのような感じで、勝に小さく打ってしまうと小さくしか返ってこない、坂本はまだ小物だなと諭されてしまいます。
吉之助は、長州征伐の参謀として長州に向かいます。そこでは戦わずして毛利家に要求をのませることに成功します。吉之助の中では民の暮らしを守ることが第一であり、戦はそういった人々の生活基盤をもなくしてしまうことから、可能な限り戦は避けるべきであるという現代にも通じる思いを強く持っていたのでした。
しかし、征伐が成功しても慶喜は逆に裏切り行為だと吉之助に言い寄り、切腹を命じます。長州のお城を木っ端みじんにして焼け野原にすることを望んでいたのでした。とても受け入れがたい思想を持った慶喜とこれ以上ともに歩んではいけないと吉之助は、ひーさま以来の関係を断ち切ることを決断します。
これ以降、彼らは違った道を進むことになりますが、日本を想う気持ちはどちらも形は違えど持っていると信じたいと思います。次回以降それがどのような形になって姿を表していくのか楽しみにしたいと思います。
■紀行■
・山口県岩国市
龍護寺(現・清泰院)
JR「川西」下車 徒歩8分
NHK大河ドラマ「西郷どん」オリジナル・サウンドトラックI 音楽:富貴晴美
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