椿を種から育てるプロジェクト
それは、1粒の子供が拾ってきた椿の種から始まりました。
種であるということは、それがきれいに花になって当たり前だと子供は考えているようで、育てるのがどんなに大変かなどは考えず、椿を育てたいという純粋な気持ちであったのだと思います。
答えを教えるのもなんなんで、自分で自由に育ててみるように言ってみると、子供は使い終わったペットボトルに水を入れてその中に椿の種を入れました。彼はこれで育つと思ったのです。
そこから、約2週間。一向に芽が出る様子がみじんもない状況が続き、次第に子供はこの椿の種入りのペットボトルの存在自体を忘れ去っていきました。南側の窓辺にはぽつんとペットボトルに入った椿が寂しそうに沈んでいます。
このままではあんまりなので、記憶の彼方にあった椿の種を呼び戻し、近くの公園に植えに行くことにしました。このことを彼に打診すると、この上ない笑顔で応え、スコップと種とじょうろを紙袋に入れて「お父さん、早く行こうよ」とせがみます。
公園に着くと、早速植えることができそうな場所を見つけ、途中土遊びや山作りなど目的を完全に忘れて二人で遊んだりしつつも、最後にはしっかりと種を植えてその上から水をやり、忘れないように木の枝を差して終了。
子供はしきりに、「誰かに踏まれないかな?」と気にしていましたが、自分の一番の懸念は植えたという事実を忘れてしまい、どこに植えたかを忘れることでしょう。彼には言わずに、「大丈夫だよ」といってその場を離れました。
家に帰って、そっと椿の発芽方法について調べてみましたが、始めに水にいれて乾燥を避けるのはあながち間違っていなかったようで驚きました。
この先、この椿がどうなっていくのか、それも大切ですが、何か生き物を育てたいという気持ちをできる限り大切にしてあげたいと思います。
NHK趣味の園芸・人気品種と育て方 ツバキ、サザンカ (NHK趣味の園芸―人気品種と育て方) (2000/03) 日本ツバキ協会 |
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