成功することしか見えない危険性
年末の風物詩ともなりつつある夢を買う宝くじである年末ジャンボ宝くじを購入したかどうかが同僚内でも話題になる季節がやってきました。今年は何枚買ったのか、どの売り場で購入したのかといった情報交換がされるのですが、世の中でも大方同じような雰囲気でニュース番組などでもこういった内容が報じられています。確かに新橋のとあるチャンスセンターでは長蛇の列が出来ていて、窓口には招き猫がいたりします。桜美林大学の芳沢光雄教授によると、どの売り場も1等3億円が当たる確率は同じで、当たると言われている売り場はたくさん売れているからに過ぎないとあっさりと説明してくれています。
夢を購入しているのだといい方向に解釈すればいいのですが、このように、はずれには目を向けずに当たりにだけ注目する心理を行動経済学では「生き残りバイアス」というそうです。連続して当たりを言い当てることは、その予言にチャレンジする人が多ければ多いほど、必ず誰かいるのです。ひとりが毎回同じように当て続けることができるのであれば、その人には特殊な技能がありますが、そのような人はほとんどいません。
世の中には「絶対に儲かる」「必ずやせる」といった断定する言い方をうたっているものがありますが、これらは典型的な生き残りバイアスといえます。うまい話には裏があるといいますが、このような生き残りバイアスを判断するのは自分しかありません。本当にそうなのか、そう言いきれる根拠は何なのか、常に冷静な自分を持ちつつ、リスクを理解した上で話にのりたいものです。
【参考】日経Plus1 2009/11/21
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