ナガサキで弟を失った君
すでに、この写真を見たことがある人は多いんじゃないかと思います。
この写真は、63年前の被爆した長崎でアメリカ人、ジョー・オダネルさんによって撮影された1枚です。写真に映る少年は既に亡くなった弟をおんぶして、街を流れる川の畔にある火葬場に連れてきたところです。
付近は、放射能と灰とがれきしか残っておらず、おそらくこの少年の両親も既に亡くなっているものと想像できます。必死で幼い弟を探した結果、このような状況になってしまったのかもしれません。
この写真を撮影したジョー・オダネルさんは、占領軍として原爆投下後の長崎に入り、その破壊力を記録するため写真を撮影する一方で、軍に隠れ内密に自分のカメラでおよそ30枚の写真を記録しました。
帰国後、被爆者の記憶に悩まされ、悲劇を忘れ去ろうと全てのネガを自宅屋根裏部屋のトランクの中に閉じこめ、43年間封印してしまいます。しかし晩年になって原爆の悲劇を訴えます。原爆投下を信じる周囲から非難の声を浴びながら、85歳の生涯を閉じました。
その父の遺志を継ごうと息子のタイグ・オダネルさんは、今でも活動を行っています。
戦争については、アメリカの観点や、当時の日本の立場など色々な思い、そしてその中を生き抜いてこられた様々な方の苦しみもあるので、何か言えることはありません。
しかし、この写真で弟と別れなければならなかったこのお兄ちゃんの無念さ、そして母親、その周りの数多くの方の無念さを垣間見るとき、二度とこのような悲惨な出来事は繰り返してはいけないんだと改めて感じます。
【参考】NHKスペシャル 解かれた封印
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080807.html
原爆の絵ナガサキの祈り (2003/07/25) NHK長崎放送局 |
◆関連する記事◆